心の隅に2 ページ5
_
hajime side
もうすぐ解散する、とリンから連絡が入ったのは22時50分ちょっと前。リンが言っていた居酒屋は車で15分もかからない所にある、リンから連絡をもらってすぐに家を出た。
早く会いたい気持ちと、会うのが怖い気持ちと。
自分から連絡したのだけど気持ちの整理が追いつかない。居酒屋から少し離れた道に車を停めて、店からリンが出てくるのを待つ。
リンが出てきたのは、すぐの事だった。
……やば、い……めちゃくちゃ可愛くなってんじゃん。いや、あの頃もめちゃくちゃ可愛かった、けど。
本当に、綺麗になった。
そんなリンもこちらに気づいたようで、車に向かって真っ直ぐ歩いてくる。
助手席をあけて、車へと乗り込んだリン。
『…ひ、さしぶりです。お迎え、ありがとう。』
はじめ「こちらこそ、ほんとありがとう」
『ううん、全然』
はじめ「っしゃー…じゃ、いくか」
リンがシートベルトをしたのを確認して、ゆっくりと車を走らせる。
自分でもわかるくらい緊張してる、やばい。
ちらっとリンに目線をやると、彼女の視線は窓の外へと向いていた。お酒がはいっているからか、目がとろんとしてる。
『……元気、だった?』
はじめ「、へ?あ、うん、元気…だったよ。リンは?」
何を話していいんだろう、話せばいいんだろう、なんて考えていたら話しかけてきてくれたのはリンだった。びっくりしてすこしだけ、どもってしまった。
『…あんまり、元気じゃなかった、かも』
はじめ「…え」
『ふふ、なーんてね。元気だったよ、普通に』
はじめ「び、っくりした…なんかあったのかと、おも…」
信号に捕まり、また視線をリンへと戻すと少しだけ寂しそうな顔をしていて、言葉がつまった。
『ん?…どうしたの、はじめ』
そんな俺を不思議に思ったのか、リンが窓から俺に視線を移して…リンと目が合った。
ーーー 吸い込まれそうな、綺麗な 瞳
はじめ「…ごめん、あの頃…おれ、…」
『!…謝らないでよ、せっかく…またこうやって会えてるんだし』
はじめ「…ん、ありがとう…リン」
苦しい胸の奥から、絞り出したありがとう。
そこから会話こそ無かったものの、初めの変な感じではなくて…心地いいもので。
まだしばらく続いて欲しい、そう、思った。
_
54人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Nico | 作成日時:2020年4月28日 19時