嘘つき ページ23
玄関へ向かおうとする私の腕を、千冬が掴んだ。
「また逃げんのかよ！」
「……酔っ払っちゃ、って…」
私また泣いてるの？ダサ…。
十年も千冬に想われる人が羨ましい。
気持ちに応えてあげないの？
千冬のモノにならないなら、私にくれてもいいじゃん…。
私だって、十年千冬を想い続けてるのに…。
「A」
何も反応を示さない私に痺れを切らし
前に回り込んで、ほっぺを掬い上げた。
「……何泣いてんだよ」
「……未来を思い出したら泣けてきた」
「ねぇ、誤魔化すのやめてくんね？」
むっとして私の言葉を待ってる。
どうせ軽い女だと思われてる。
もう二度と千冬の前には現れないから、
最後に千冬と過ごした十年の思い出が欲しい。
最後に＿＿＿＿、
「A、」
「……抱いてくれたらいいのに…」
「………は！？」
真っ直ぐに千冬を見つめて発した言葉。
目の前の千冬は、驚愕の表情を浮かべてる。
「キスは出来るのに、抱いてはくれないの…」
「……」
私の頬から手を離し、
腕を引いたかと思えば、ソファに押し倒された。
私を見下ろす千冬の顔は、確実に怒ってる。
「お前さ、」
「嫌ならいい…」
「酔っぱらったら誰にでもそんな事言ってんの？」
「……うん」
酔いなんかとっくに醒めてる。
幻滅して、突き放して。
お前なんてもう、親友でも何でもないって見捨てて。
嫌われた方が楽だ。
元々私は、親友なんて思ってない。
友達なんて思った事、一度もない。
ずっとずっと、異性として千冬が好きだったんだから。
「あのさぁ」
ハァ…と、溜息を吐いて、私の涙を親指で拭った。
「いつからそんな嘘つきさんになったの？」
「……嘘、つき…？」
「素直で可愛い、Aはどこ行ったんだよ」
「かわ、かわわ…っ！」
い、今可愛いって言った…！？
千冬が私を！？
「何か嫌な事でもあった？」
「……あった」
「話なら聞くから、女の子があんな事言わないの」
「……千冬のせい」
「え！？俺！？」
体を起こしてくれて
「俺なんかした？」って、心配そうに眉を下げてる。
「もう千冬に会いたくない…」
「え？えぇぇぇ！？何で！？」
「私ずっと嘘つきだよ」
「Aはそんな子じゃない」
「なんにも知らないくせに」
「どうしたんだよ」
キッと千冬を睨んでも
「ん？」って、首を傾げて困った顔をしてるだけ。
「私は…、千冬を親友なんて思った事ない」
「え…、」
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みい - 面白かったです！ (5月1日 14時) (
レス) @page50 id: 957bb83be5 (このIDを非表示/違反報告)
えりちゃん - はじめまして！千冬の小説の中でいちばん大好きです♡︎ʾʾ (6月5日 9時) (レス) @page50 id: 84c92b84c7 (このIDを非表示/違反報告)
いぬ？ - ずっと泣いてました。涙腺しにました。千冬くんのこともっと好きになりました。 (2022年11月5日 12時) (レス) @page50 id: dc4cbab92b (このIDを非表示/違反報告)
華ノ子(プロフ) - 泣きました〜( ;ᯅ; )matsuriさんの作品本当に好きです… (2022年7月29日 2時) (レス) @page50 id: 71c3cf5627 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃみさん(プロフ) - 本当にいつもどの作品もmatsuriさまのは素晴らしいです。もう素敵すぎて逆にしんどいです笑 三ツ谷読みたいので、次作楽しみにしております！でもたまに灰谷兄弟の更新もお願いします笑 (2022年7月7日 13時) (レス) @page50 id: e87bae8502 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：matsuri
| 作成日時：2022年5月23日 18時
