検索窓
今日:4 hit、昨日:40 hit、合計:183,192 hit

報告 ページ20

「Aも乗ってく?」
「タクシーで帰るから大丈夫!」
「じゃあ、駅まで乗って行きなよ!」
「でも、」
「その方がタクシーもいるしさ!」




二次会も終わり、彼が迎えに来るという安奈の言葉に甘える事に。


「楽しかった?」って安奈の頭を撫でる彼。
幸せそうな二人を後部座席から眺める。


自分が惨めだなって思うと共に、この空間に私は邪魔だなって。
駅は車で五分。近くて良かった。




「ありがとうございました」
「また連絡するね!」
「気を付けて帰ってね」




車が見えなくなるまで見送った。



今日を振り返りながら、一人トボトボ駅まで歩く。




千冬は優しいから、
私が痛い目見ないようにって、心配してくれたんだきっと。



出会ったばかりの男と二人で飲みに行ったり、
元彼に好きだったとか、彼氏で良かったとか、
付き合ってた当時、本当は別の人を密かに想ってた事とか、



私の行動一つ一つが、千冬からしたら理解出来ないんだ。



高校の頃からずっと、沙羅ちゃんだけを想ってきた千冬からしたら、
確かに私の言動って軽すぎる。



もうすぐ駅入口という所で
鞄の中から、携帯が鳴っている事に気付く。誰だろ。




「もしもし」
「よ!もう終わった?」
「一虎さん…」
「ん?なんか元気ない…?」




一虎さんの優しい物言いで、目に膜が張っていく。




「私のせいじゃありませんでしたよ」
「今日も機嫌悪かった?」
「……いえ、今日は…、私が怒らせました」
「え!何したの!」




怒らせた、っていう表現はおかしいか。




「私が…いけっ、ないので…」
「ごめん、途切れてよく聞こえない…」
「……すみませんっ」
「えっ?泣いてるの!?」
「……っ」
「今どこ?危ねぇから迎え行く」




慌てて涙を拭った。
だけど、拭っても拭っても、止まらない。




「一虎さん…っ、私…、」
「どうした?」
「ち、ふゆに……っ、きらわ、れ…ちゃいました…っ」
「えっ、何で、」




口にした途端、胸がギュッと締め付けられて苦しくなった。



涙で滲む視界をゴシゴシ拭って
早くタクシーに乗ろうと歩き出した、







時だった。




「ぇっ……、」




後ろから首元に回された腕。
走って来たのか、耳元で聞こえる荒い息遣い。


どうして…、




「ハァ…、ハァ…、誰が誰に嫌われたって?」




鼻を掠めるのは、大好きな人の香り。

勘違い→←戻れない



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (368 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
724人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

みい - 面白かったです! (5月1日 14時) (レス) @page50 id: 957bb83be5 (このIDを非表示/違反報告)
えりちゃん - はじめまして!千冬の小説の中でいちばん大好きです♡︎ʾʾ (6月5日 9時) (レス) @page50 id: 84c92b84c7 (このIDを非表示/違反報告)
いぬ? - ずっと泣いてました。涙腺しにました。千冬くんのこともっと好きになりました。 (2022年11月5日 12時) (レス) @page50 id: dc4cbab92b (このIDを非表示/違反報告)
華ノ子(プロフ) - 泣きました〜‪( ;ᯅ; )‬matsuriさんの作品本当に好きです… (2022年7月29日 2時) (レス) @page50 id: 71c3cf5627 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃみさん(プロフ) - 本当にいつもどの作品もmatsuriさまのは素晴らしいです。もう素敵すぎて逆にしんどいです笑 三ツ谷読みたいので、次作楽しみにしております!でもたまに灰谷兄弟の更新もお願いします笑 (2022年7月7日 13時) (レス) @page50 id: e87bae8502 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:matsuri | 作成日時:2022年5月23日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。