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ページ20

日が差した寝室。
真横には、綺麗な寝顔。



昨夜、彼に愛された身体は、水を浴びた華のように潤う。
若くんが、何よりのビタミン剤かもしれない。




「……ん…A…?」
「おはよ」




彼が眠った後に化粧を落として
彼が起きる前に、化粧を済ませる。




「もう身支度ばっちり」
「んふ、朝ごはんも出来てるよ」
「食う」




この生活は、私にとって全く苦ではない。
若くんを失う方のが、怖いから。


こんな事で、繋ぎ止められるなら…。




「うまっ!」
「良かった」
「……食わねぇの?」
「これ飲んでる」




野菜ジュースを顔の横でフリフリ。




「足りんの?」
「うん!」
「そっか」




嘘。全然足りないよ。

おにぎり食べたいし、目玉焼き乗せたパンだって食べたいし、ソーセージだって食べたい…。




「んじゃ、昼は外で美味いもん食お、一緒に」
「そうだね!」




一緒に、って言葉がやけに嬉しく感じた。
これからも…、ずっと一緒に…。




なんて。




この時、ランチに出掛けなければ、
淡い夢から覚める事もなかったのに…、な。





駅前のイタリアンバルへとやってきた。



バレないように、メニューはカロリーを確認して、
ノンオイルのパスタに目を通して、



そんな事に気を取られていた。




「A決まった?」
「うん!コレと…、」
「あれ〜??♡」




私達のテーブルに出来た影。
若くんは、その影を辿ってゆっくり顔を上げた。



___私は、メニューを指さしたまま、顔を上げる事が出来ない。




「どこのブスかと思えばAじゃ〜ん」
「誰?あんた」




若くんの低い声に怯む事もなく、話し続けるこの女は___。




「私ですか?私はこの子の幼馴染です!」
「幼馴染…?」
「ユウナって、呼んでください♡」




猫撫で声が懐かしい。
昔から何の努力もなしに、可愛かったユウナ。


スタイルも良くて、みんなの憧れ。
会いたくなかった。




「ねぇ?何色気づいちゃってんの♡」
「……」
「デブ眼鏡の地味女が」
「……ゃめ、て…」
「あ♡彼氏さん、この子の学生時代の写真見ますー?」
「やめっ…!」




若くんに携帯を向けた瞬間、それを払いのけた。
「何すんのよ!事実でしょ!」って怒鳴られ、何も言えない。


若くんは、ある一点を見つめたまま、動かない。


地面に転がる携帯。
そこに映し出された、昔の私。




終わった。




ニヤリ満足そうに笑うユウナ。
私は、その場から走って逃げ出した。

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だいこん - えっすきすぎる、、、!!!場地さんのとこずっとキュンキュンしっぱなしで、、、!!!ほんと天才すぎますっ!!こんな神作を、、、、!!!✨✨✨ありがとうございますっ!! (3月14日 21時) (レス) @page28 id: fdeded875e (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 三ツ谷くん夢本当良きです! (2023年4月20日 10時) (レス) @page14 id: f3df519faf (このIDを非表示/違反報告)
ゆいとこ - ドラケンくんで泣きました。今まで読んできた小説の中で一番キュンとしました。ほんとうにこんなにおもしろい小説を無料で読めるなんて贅沢です。ありがとうございます!!! (2022年10月24日 11時) (レス) id: e4df59fc58 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - もうなんなんですか!!天才ですね!!最高でした!!!ありがとうございます。 (2022年8月27日 21時) (レス) @page47 id: bd86862afa (このIDを非表示/違反報告)
睦月 - 初めまして!小説読ませて頂きましたが素敵な作品ばかりでした!キュンキュンしちゃいました(笑)個人的にはイヌピーとココが好きなので短編を書いてくださると嬉しいなぁとか思ってます。個人的な意見を言ってすいません(><) (2022年7月23日 2時) (レス) id: 3944e3eebe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:matsuri | 作成日時:2022年2月15日 17時

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