愛し愛され。振り振られ。【灰谷竜胆】

34 ページ34

「んぅ…」




あれ、私昨日あのまま意識飛ばした？

外が明るくなっていて、
生まれたままの姿で、竜胆に抱きしめられている。


綺麗な入れ墨に、もう一度顔を埋めた。




「…んっA？」
「竜胆…」
「起きちゃったの？」
「んんん」




昨日の快楽を思い出し、羞恥で、顔を上げる事に躊躇う。


あんな、痺れる感覚初めてだった。


竜胆が上手いからなんだろうけど、
過去の抱かれた子たちに、朝から嫉妬する…。




「Aちゃーん」
「……なあに」
「あれ？ご機嫌ナナメじゃん」
「んんんー」




あはって笑って、私の顔を覗き込んだ。

顎を持ち上げられて、
寝起きとは思えない綺麗な顔と、ご対面。




「どうした？」
「……んー」
「お話出来なくなっちゃったのー？」
「できなくなった…」
「出来てんじゃねェか」




パクッと唇を食べられて、
ちゅうっと吸われる。




「お話出来ないお口は、竜ちゃんが食べちゃうぞー」
「やだー！」




ほっぺをこねくり回し
悪戯に笑う竜胆に、自然と私の頬もユルユル。




「なんかあったか？」
「んー竜ちゃんやだ！」
「まーた、やだやだマンになっちゃったの？」
「嫉妬する…」
「え？俺なんかした？」




焦ったように私の背中を抱き寄せて、
申し訳なさそうに、眉が垂れさがる竜胆。




「竜胆が抱いた女の子、みんなに嫉妬する！」
「朝から興奮させんな、ボケ」




「可愛すぎだ」って、頭をワシャワシャ。
私は、本気で言ってるのに！




「俺が惚れた女は、Aだけだよ」
「竜胆…」
「今まで、こんな行為に意味なんてなかった」
「うん…」
「過去の女なんか気にすんな、顔すら覚えてねェ」
「最低…」




とか言いながら、喜びが抑えきれない。


ずっと竜胆の一番でいられますように…。




「嫌いになんなよ？」
「ならないよ、だいすき！」
「かわいこちゃんめ」
「いひゃーい」




頬をムニムニ。
仕返しに、竜胆の頬もムニムニ。




「今日は何しよっか？」
「どっか行きたいとこねェの？」
「んー竜胆がいればどこでもいい」




竜胆が、ガバッと起き上がり、
私を組み敷いた。



お互いなにも身に纏っていなくて、
明るい部屋ですべてを見つめられる。




「りん…ど、あの、恥ずかしい…」
「すぐ気持ちくなるよ」




耳たぶをカプッとされて、鼻から息が抜けた。




「ん…」
「まずは、朝の運動しよっか」




朝から激しく抱かれ、
夕方まで動けなかったのは、言うまでもない。

35→←33

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す