愛し愛され。振り振られ。【灰谷竜胆】

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わかってた事なのに、なんで私泣いてるんだろ？



レンくん。
竜胆は私の事、好いてはくれてるけど、一番ではないんだよ。





「……どうした？」
「一人になりたい時でも、美愛ちゃんには会いたいんだね」





自分で言って、涙が溢れた。


奥歯をギュッてキツく噛んでも、止まらない。





「えっ？ちがっ、」
「二番目でもいいって思ってたの」
「何言ってんだよ！」
「最初から、美愛ちゃんには勝てないって、」
「待って！なんの話！？」





早く喋り切らなくちゃ。



もうすぐ、涙と嗚咽で話せなくなる。





「わかってた、から…っ」
「A！」
「でも、それでも好きだったっ…竜胆が…っ」
「俺も好きだよ！」
「…っ、ありがと、」
「泣いてるの？今どこ？」





ソファに座って、目の前の真っ暗なテレビに、ひどい顔した自分の顔が映ってる。




二番目でもいいなんて、そんな恋愛続くわけなかったのに。
結局自分が苦しくなって、それを竜胆のせいにして。




大事な奴がいるって、最初から言われてたんだから。




竜胆は悪くない。
いつだって、優しくしてくれた…。





「でも、もう終わりにする…っ」
「勝手に終わらせんな！どこ？家？」
「……それじゃぁ…っ」
「A！待って、聞いて！」





ダメだ。もう喋れない。



胸が苦しくて、痛い。
太ももに落ちる涙が重くて、立ち上がれない。




携帯が鳴ってる。



画面を見なくても、
竜胆だって、わかる。




これ以上、何の用があるんだろう。




明日折り返そう。




今日はもう、話せない。
竜胆の声を聞いたら、きっと泣いてしまう。




とりあえず、寝て、一回落ち着こう。




冷静な頭に戻してから、
竜胆に電話をしよう。





そんな事をぼーっと考えていた。




その時、インターフォンが鳴って、
ドアをドンドン叩く音に、
ノブをガチャガチャする音。




絶対竜胆じゃん…。




この家にいる以上、
いつまでも、逃げてなんていられないし…。




もう竜胆の考えてる事がわからない。




泣いてしまった時の逃げ道を作る為に、
ドアチェーンをつけて、恐る恐る、扉を開いた。

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