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出合う前に戻るだけ。
たった数回会っただけの男。
そう呪文のように唱えて、毎日を過ごす。
「A！」
「レンくん！」
今日はお店が定休日の為、
同僚のレンくんと、ランチ。
黒髪短髪の好青年。
どっかの、金髪水色頭とは大違い。
「んん！美味しい！」
「このワインも美味い！」
駅前に出来たイタリアン。
テラス席で、日当たりも良いし、何より料理が美味しい！
「イタリアンに転職しようかな」
「最近、ガラの悪い客増えたしね」
確かに…。
ゴミ捨てに行けば、抗争現場に遭遇するし、
熊みたいな親父に、搔っ攫われそうになるし。
「Aは女の子だから気を付けないとな？」
「この前もさぁ」
レンくんとの時間は心地良い。
どこか貫禄があって、同い年とは思えない。
この人、本当に最近成人したばかりなんだろうか…。
ワインを飲みながら、レンくんとの優雅なランチ。
の、筈だった。
この光景を目にするまでは。
「走ったら危ねぇぞ」
「へへへ」
女の子の手を引き、ニコニコ笑う竜胆。
直感でわかる。あの子が美愛ちゃんだ。
栗色の髪の毛に、可愛い笑顔。
東京の女の子は可愛いな。
あんな子が傍にいたら、そりゃ大事にするよ誰だって。
「竜胆！あのお店美味しそう！」
「ん？どこ？」
美愛ちゃんが指さすのは、私たちのいるイタリアン。
おおお！マジか！美愛ちゃん！
しかも何？あの、竜胆のあまーい声。
これ以上聞いていられない。
「レンくん、トイレ行ってくる」
「はいよー」
鏡の前、自分の顔を見て溜息。
美愛ちゃんとんでもなく、可愛かったなぁ。
「おやすみ」って電話はするのに、どうして彼女じゃないんだろ。
美愛ちゃんも、竜胆だいすき！って感じだったのに。
あぁぁもう！
どうだっていいでしょ！
レンくんの元へ戻り、何気ない会話をしていても、結局竜胆と美愛ちゃんの事が、頭から離れなかった。
帰り道、若干足がフラついた。
そんなに、飲んだかな…？
覚束ない足取りで、エレベーターを降りた瞬間、竜胆の玄関が開いた。
「竜胆、ほんと大丈夫、」
「だーめ、送るから」
なんちゅうタイミング。
「こんにちは…」と、挨拶をして二人を通り過ぎた。
……筈だった。
「A」
始めて名前を呼ばれた。
私、なんで泣きそうなの…？
耐え難い虚しさに、聞こえないフリをして、玄関を開けた。
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nori(プロフ) - いつ見てもほんとに面白くて泣けて最高にドキドキして何回も見返しちゃいます笑作者様がこのお話を作ってくれて読めてめっちゃ幸せです✨！お体気を付けてお過ごし下さい！ (2023年1月7日 18時) (
レス) @page38 id: 415de435f6 (このIDを非表示/違反報告)
matsuri(プロフ) - raaaaaaamさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます(T_T)♡春千夜くんバージョンお話思いついたら、ぜひ書かせて頂きますね♡ナイ頭フル回転で頑張ります(笑) (2021年11月26日 9時) (レス) id: 92d72416b1 (このIDを非表示/違反報告)
raaaaaaam(プロフ) - ふぉーー！素敵な作品すぎて気づいたらこんな時間に…⤴︎︎⤴︎︎ 同じバージョンよ春千夜も希望したいです(T ^ T)(T ^ T) (2021年11月26日 6時) (レス) @page45 id: c6906907ca (このIDを非表示/違反報告)
なる - テスト期間で完結してたの知りませんでした！おめでとうございます！！もう最後の最後まで最高に感動しました！二次作品も心待ちにしてます！ (2021年11月13日 16時) (レス) @page44 id: ec50fd9b43 (このIDを非表示/違反報告)
マナフィ(プロフ) - 完結おめでとうございます！前作の蘭ちゃん編から読ませて頂いてます。竜胆のあまぁぁあい言葉にキュン超えてギュンギュンしました！番外編楽しみに待ってます！！ (2021年11月9日 17時) (レス) @page44 id: c16e9a497f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：matsuri
| 作成日時：2021年10月13日 17時
