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マナブくんがボソッと発した言葉は、音楽にかき消された。
「ううん、なんでもない」
「そっか！」
「それより、こんなとこ一人で居ていいの？」
「ん？」
「二人に怒られない？」
「竜胆は、怒らないよ！」
「そうなの？」
「うん！竜ちゃんは、すっごく優しいの！」
あぁダメだ。
自分で言っといて泣きそう。
竜ちゃんの、優しさが恋しい…。まだ一週間も経ってないのに。
「Aちゃん、なんか今日元気ない？」
「ま、まぁ…うん…」
「俺で良かったら話聞くけど…」
誰かに話せば、少しは気が楽になるかな？
「私ね、お見合いするの」
「え！お見合い！？」
「うん…恥ずかしい話、パパの会社の経営が悪化しちゃって…」
簡単に、事の成り行きを話すと、マナブくんは、顎を摘まんで、考えるような仕草をしている。
「中辻運輸…って、聞いた事あるような…」
「大手だもんね」
「んー…」
「マナブくん？」
「Aちゃんは、本当にそれでいいの？」
「うん！もう決めたの！」
この決意は揺らがない。
「でも、“あの二人”は、そう簡単にAちゃんを、手放さないと思うよ」
マナブくんが、フフッて笑ってる。
そんな事ない。
時折、バカな幼馴染がいたなぁって、思い出すくらいだよ。
なにより、
「二人に、どうこう出来る問題じゃないから…」
パパの会社が係った、大事なお見合い。
向こうの方に、お断りされないように、私が頑張らないと…！
「きっと出来るよ、あの二人なら」
「そんなわけ、」
「Aちゃんが思ってるより、すごい人達なんだよ？」
「マナブくんも不良なの…？」
「俺なんか全然！俺の兄貴が、悪さばっかしててさ、」
「え、意外！」
「あはは、灰谷兄弟の噂は良く聞いてたってだけ」
「……そっか」
「六本木のカリスマ兄弟って」
また、私の知らない二人の一面。
女性だけじゃなく、男性まで、虜にしてたなんて仰天だ。
大人になるにつれ、遠い存在になって行ったのは、気のせいなんかじゃなかった。
彼らの元を離れたのは、正解だったのかもしれない。
「マナブくん、話聞いてくれてありがとう！」
「俺じゃ、なんの役にも立てなかったけど…」
「そんな事ないよ！」
「Aちゃんには、幸せになってほしいな」
「なるよ！きっとね！」
「妹がいたら、こんな感じなのかな？」
「ふふ、マナブくんがお兄ちゃん？」
独身最後の晩酌は、
私の気持ちを、少し軽くしてくれた。
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hn(プロフ) - 最高に面白かったです！！！ (2022年10月6日 20時) (
レス) @page49 id: e0eb294673 (このIDを非表示/違反報告)
西姫(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです(*^^*)マナブ君も良いキャラで大好きです♡ (2022年4月4日 1時) (レス) @page49 id: 88164419ff (このIDを非表示/違反報告)
みかん - 初めてコメントします！もうマジ泣きしてしまいました‼︎おまけめちゃくちゃ好きです！！！！ (2021年12月30日 8時) (レス) @page50 id: 8fb73b1872 (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - 完結お疲れ様でした。ずっと見てたのに初めてコメントします。毎回泣いたりニヤニヤしたりと感情が振り切ってました！素敵な作品をありがとうございました。竜胆くんの話も楽しみに待ってます。 (2021年10月12日 18時) (レス) id: cb2ce3c237 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - おまけめちゃくちゃよかったですー！！続編や番外編も見てみたいと思ってしまいました(/ω＼)素敵な作品をありがとうございました！！ (2021年10月12日 17時) (レス) @page49 id: 9c8bda99d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：matsuri
| 作成日時：2021年9月16日 18時
