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それはさておき、ロベルティーネは根城である教会──ジャルドーレ通りの外れにある、寂れた古い教会だ。プロテスタントの教会らしいが、使われてなかった事を察するに、この周辺はカトリックの方が主流なのだろう──の内陣にある長椅子に横たわり、新聞をめくりながら器用にパンを頬張っていた。神前で、お世辞にも上品とは言い難い体制で新聞を読みながら食事をして良いのかと問われれば、否。良くない。全く良くないのだが、彼女は無神論者、そもそも神と言う存在自体を信じていない。究極の現実主義、つまらない人間とも言われる彼女曰く、「何処でどうしようが私の勝手」と言うのがオチである。本当につまらない理由だ。
 こうして新聞の一面を見てロベルティーネが思い出す事と言えば、あの青年である。頸動脈を切り裂かれたのにも関わらず、何事も無く立ち上がり、切られた傷口は綺麗に塞がっていた。そして、殺しに掛かって来た相手を気遣うと言う、どんなお調子者でも驚愕するポジティブシンキングに、最早賞賛すべきものの様な気さえしてしまう。
 そう言えば、前にもこんな風に心配された事があったと、彼女は一人の少年を思い出す。ソーン・リヒトルーチェ。ジャルドーレ通りで語り部をしている少年だが、一度だけ血濡れの彼女を目撃している数少ない生きた(・・・)人物でもある。彼も青年と同じくロベルティーネを心配し、自宅に連れ込んで手当てまでしてくれた──実際、彼女は怪我もしてなかったが、ソーンもよく確認せずに包帯を巻いていたので、結局怪我はあったものとしている──善良さを見せてくれたが、その事が原因でソーンは彼女が誰かから暴力を受けているものだと愉快な勘違いをしてしまっているのだ。何度か真実を伝えようと考えていたロベルティーネだったが、彼の純粋な良心を無下に出来ない上、尚且つ真実を知ってしまえば彼に弊害が及ぶ可能性を考慮してしまった結果、未だに伝えられずにいる。
 閑話休題。あの時とは全くケースが違う。あの男はソーンの様に強引に治療した訳でも無ければ、人なのかすらも疑うレベルの人物。危険だと判断してナイフを喉に投擲したが、恐らくあの青年の事だから、今頃元気に活動してくれている事だろう。
 あの後、ジャルドーレ通りで死体回収屋を営むハザマ・ゲイボリューグの元を訪れ、肉を剥いだ死体の回収を依頼した。お陰で、回収屋の手伝いをしているコト・アンノウンと一悶着あった訳なのだが。

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十二月三十一日(プロフ) - づみさん» 有難う御座います。読んで頂き光栄です。更新頑張りますので、今後共宜しくお願いします。 (2018年3月3日 2時) (レス) id: 70aae954fa (このIDを非表示/違反報告)
づみ(プロフ) - お話がとても好きです、更新たのしみにしています。頑張ってください〜 (2018年3月2日 16時) (レス) id: 688586594f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:十二月三十一日 | 作者ホームページ:   
作成日時:2018年1月18日 21時

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