◆第II章「情報収集」 01 ページ14
僅か30分足らずのやり取りの結果、二人は非道徳で狂気の沙汰としか言いようが無いコントラクトを交わす事となった訳なのだが、勿論一筋縄で行くような簡単な物ではない。ロベルティーネが殺すのは、魔女の呪いを受けた元人間の吸血鬼と吐かす青年である。
故に、議論はどうすれば殺せるのかと言う物になるが、教会内にある内陣の長椅子、通路を挟んで二人は座りななら駄弁っていたが……。
「つまり、吸血鬼退治で行われてきた方法を全て試した上で、死ねなかった訳か」
「そうそう。どう言う訳か、杭で心臓貫かれても、銀の弾丸で撃ち抜かれようとも、何をしても効果がない。只痛いだけで死ねないの。だから、昼間に外へ出かけても、聖水掛かられようが大蒜投げられようが、死ぬ所か灰にもなんないんだよ」
自分は吸血鬼だと言い張るメルヴィンだが、話をどの様に聞いても、これは吸血鬼もどきの化け物だ。それでも彼は吸血鬼だと言い張っている。普通の吸血鬼ならばこの時間帯、棺桶で静かに眠って居そうな物だが、メルヴィンはこんな明るい現在の時間帯でも元気に動き回っている上、教会──寂れて居た教会とは言え、内陣には祭壇もしっかり備え付けられている──に何の障害無しに入って来ているので、正直な所吸血鬼と言うのには無理がある様に思えた。吸血鬼は本当の弱点を隠す為に敢えて違う弱点を晒していると言うが、こんなチートじみた吸血鬼は創作物の中でも見られないだろう。
ロベルティーネは目の前の情報が全てだと割り切り、取り敢えず彼を吸血鬼と言う前提で話を進めて見たものの、結果はこの通り、膠着状態に陥る。ファーストコンタクトの時にあった恐ろしく早い自己修復力を目の当たりにしている為、彼女も彼が人間では無い可能性を半割りを占めた上で、種族はどうであれ殺す算段をしていたが、しかし、結局議論は振り出し所か、出口のない迷路へと突入してしまった。今更ながら、この依頼を突っ返せる物なら突っ返したい気分だ。
「でも、魔女さえ見つかれば……」
「その魔女って奴は何処にいるのか、目処ぐらいは付いてんだろうな」
「……付いてないです」
「うわー、胡散臭っ」
「本当に呪いを掛けられたんだって!」と言って、メルヴィンは突如彼女に背を向け、シャツの襟元を緩めて、首元を見せた。流石のロベルティーネも目を逸らすが、すぐに静止する──否、静止させられたのだ。
晒される白い頸。しかし、其処には紅い不思議な模様が刻まれていた。
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十二月三十一日(プロフ) - づみさん» 有難う御座います。読んで頂き光栄です。更新頑張りますので、今後共宜しくお願いします。 (2018年3月3日 2時) (
レス) id: 70aae954fa (このIDを非表示/違反報告)
づみ(プロフ) - お話がとても好きです、更新たのしみにしています。頑張ってください〜 (2018年3月2日 16時) (レス) id: 688586594f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：十二月三十一日 | 作者ホームページ：
作成日時：2018年1月18日 21時
