このおにぎり弁当ください ページ3
『やっと着いた……一人旅って意外と大変』
出航から1週間が経った今日、私はやっと目的の島に上陸できた。
ここはグランドライン前半の海、とある冬島。
『事前情報によれば、この島にハートの海賊団が停泊しているらしいけど……そんな簡単には見つからないか』
港を見回して息をつくと、吐いた息は白い蒸気になった。
私は出航前に部下が用意してくれたモコモコのコートを着込み、更には耳あてとマフラー、手袋までして完全装備をしている。
着込みすぎて正義マントが隠れているが、背に腹はかえられない。
モコモコってジャスティス。
『とりあえずご飯食べよう……久しぶりにあったかいの食べたい……』
世話焼きな中佐との約束を守るべく、私は今日まで毎日保存食の肉とドライフルーツをかじって生きてきた。
ちゃんと栄養は取れている。とても偉い。
些か体重は減った気がするが、航海中なんてそんなもんだろう。
船から降りて、温かい家庭の味的な何かを提供している店を探しに街を歩く。
『わっ、いい匂い……！』
不意に鼻腔をついた安心出来るいい香りに誘われて歩けば、お弁当屋さんに行き着いた。
シャケ弁当にのり弁当、幕の内弁当……どうやらワノ国の料理がメインになっているらしい。
となれば、やっぱり食べたいのは……
『これください！』
「こいつをくれ」
私がラスイチのおにぎり弁当を指さして声を上げると、全く同じタイミングで重なる男性の声。
見上げれば、深く帽子をかぶったロングコートの若い男が、同じように私を見下ろしていた。
「……なんだテメェ」
『……そっちこそ』
目が合って一秒、男は謝罪でも挨拶でもなく、ガンを飛ばしてきやがった。
普通にしていれば、最後のおにぎり弁当だって譲ってあげたものを、何故か喧嘩を売られたので易々と譲りたくない。
『おばちゃん、このおにぎり弁当ください』
私が店主に声をかけると、男は焦ったように私を止める。
「テメェ、何勝手に話を進めてやがる。これは俺が先に注文しただろ」
『なんですか。いい歳して年下の女の子にご飯を譲ることも出来ないんですか。みみっちい大人だこと』
「なんだと……！？」
それにしても、この狭量な男、どこかで見たことある気がするのだ。
どこだったかな。なんか、新聞とか、紙切れだった気がするけど。
『うーん……』
「……さっきから何ジロジロ見てやがる。バラされてぇのか」
『……うーん……？』
「だからなんだってんだ！」
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早桃 - んもー！めっちゃ好きです〜！！無理せず更新頑張ってくださいねぇぇぇ！応援してます！ (2022年10月20日 21時) (
レス) @page9 id: f9af42ef58 (このIDを非表示/違反報告)
はるふ(プロフ) - 神作見つけてしまった😎これから応援しています🫡 (2022年10月20日 20時) (レス) @page9 id: 1cfa02e0c5 (このIDを非表示/違反報告)
涼風音欧(プロフ) - サメ好きさん» コメントありがとうございます！そんな風に言ってもらえるなんてとても嬉しいです、気長にお付き合いください！ (2022年10月20日 0時) (レス) id: d3245f1ebf (このIDを非表示/違反報告)
サメ好き - ものすごく面白かったです！文が見やすく情景が浮かびやすいのでめっちゃ好きです。更新待ってます！ (2022年10月18日 23時) (レス) @page7 id: c06f6fba38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：涼風音欧 | 作成日時：2022年10月16日 3時
