同期 ページ9
私は我に返って署名の手続きと、図書隊への連絡を入れた。
隊へ戻ってからはもう嵐のようだった。
堂上くんは怒鳴られ、私は事情聴取。
来週からは堂上くんの査問があるらしい。
査問が始まると、私も２度呼ばれた。
いくつもの質問を連ねてきて、たまったものじゃなかった。
普通に喋っていても責められているように聞こえる。
大声を出さないように、慎重に答えるので精一杯だった。
小牧sibe
「頑張るね、堂上三正」
俺が声をかけたのは査問でかなり参っていた頃だったろう。
「……厭味か？」
堂上が睨んでもさらりと笑顔でかわす。
「激励と取って欲しかったな。話は聞いてるよ。良化隊に抵抗した女の子を助けたんだろ？」
「軽率だった。後悔はしてないが同じ轍は踏まん」
「そこで後悔はしてないって来るとこ好きだなぁ、俺」
「だが原則派を危うくしてる」
「君の心意気１つで原則派が倒れるならそれまでの派閥だよ。俺は君より冷たいから他人のためにその時動くことはなかったなかったと思うけど危なっかしくて近くで見守ってきた女の子がいる。その子が同じ事に巻き込まれたら、きっと堂上三正と同じことをするよ」
だから君には共感する。
後から言葉を付け足した。
「あいつか？」
堂上が箸で指したのはりりだった。
「ノーコメントとしておくよ」
その後、３人で昼を食べ、それからはよく話すようになった。
＊
初任務は検閲対象図書の入ったコンテナを運ぶこと。
荷台に鍵が掛かる仕様の軽トラの運転は幹久くん、警戒役は私と堂上くんだ。
配達先は八王子の図書館だ。
私以外も楽勝だと思っていたはずだ。
八王子に入ってすぐ、事故現場にかち合った。
「小牧、停めろ！」
車を路肩に寄せたが降りようとすると顔をしかめた。
「俺たちが関わる必要ないだろ」
「何でだよ！」
「事故の瞬間を見たわけでもないし事故に関わったわけでもないから証言もできない。大きな事故でもないし、出会い頭の軽い衝突だろ。通報だけしたら十分だ。迂回しよう」
「小さい事故でもそこで人が倒れてんだぞ！ 通報するにきても容態くらいは見るべきだろ！車同士ならともかく車とスクーターだぞ！」
２人の意見がぶつかり合い、私はため息をついた。
私はこういう場合にどちらにつくこともできない性格だからだ。
「うるさい。どっちでもいいからさっさとしてよ。めんどくさいって」
私は後先を考えず責任を放棄した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 13人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
水無月歌恋(プロフ) - えりなさん» いえいえー！応援してます！ (2022年5月28日 20時) (
レス) id: 7d04816b57 (このIDを非表示/違反報告)
えりな - ありがとうございます！ めちゃくちゃ嬉しいです！(*≧∀≦*) (2022年5月28日 20時) (レス) id: 34d2333fb9 (このIDを非表示/違反報告)
水無月歌恋(プロフ) - えりなさん» 分かんないことあったら、なんでも聞いてくださいねー！ (2022年5月28日 10時) (レス) id: 7d04816b57 (このIDを非表示/違反報告)
えりな - わ〜‼初コメントありがとうございます！ 占ツクで初めてです！ 頑張っていきます！ よろしくお願いします！ 週４回更新していきたい…コメントありがとうございました！ (2022年5月28日 10時) (レス) id: 97d1b5bb4a (このIDを非表示/違反報告)
水無月歌恋(プロフ) - 面白かったです。頑張ってください！ (2022年5月28日 10時) (レス) @page1 id: 7d04816b57 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：えりな | 作成日時：2022年5月28日 10時
