図書館戦争 〜カミツレのブローチ〜

面接 ページ13

私は部下ができてもあまり相手にされなかった。

寮ではやっと一人部屋になり、マシになったが友達などほとんどいない。

夏・毬江ちゃんが突発性難聴になり、両耳の聴力をほぼ失った。

彼は実家によく帰るようになり、毬江ちゃんの側によくいるようになった。

私も昔の毬江ちゃんのように「バカッ！」と言いたかった。

そんなこと、できるわけがないのに。

一浪はしたが、毬江ちゃんはなんとか高校に合格し、補聴器も難なく使えるようになったようだ。

そして今年、私と同い年の部下が入る。

それまで私の人間関係を心配していた寮監は部屋が１つ足りないこともあり、３人部屋にしてみることを提案してくれた。

私にとって悪い提案ではなかったため、了承する。

うまくいかなければ一番はじめに空いた部屋を回してくれる予定だ。

私に友達ができるかもしれない、すごく嬉しなことだった。

“笠原郁”

彼女の名前を知ったのは面接官をしたときだった。

「高校三年生の頃に地元の書店に検閲が入って、私が買おうとしていた本も取り上げられたんです。そのとき、良化隊から本を取り戻してくれた図書隊員の方がいて、その人がとてもかっこよくて凛々しくて頼もしくて、私ももこんな風になりたいって思ったんです。私も理不尽に取り上げられる本をその人みたいに守りたいんです。だから図書防衛員を志望しました」

笑うのをこらえるので必死だった。

堂上くんがかっこよくて凛々しくて頼もしくて……ひたすら褒められているのだ。

本人の方を見てしまうともう堪え切れなくなるので絶対に見なかった。

私が涙を流したとき、堂上くんが一人図書隊員を作ったのだと思うと少し……自分が情けなかったけれど。

そして、私のルームメイトは笠原さんと柴崎さんになった。

光も今年入隊だ。

どんな毎日が始まるのかと思うととても楽しみだった。

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