二人の作戦と彼との再会 ページ22
敦が捕まってしまった今、私たちの為す術はなくなったかのように見える。
だが__
ユラリと扉が動き、閉じていたはずの扉は溶けるように消えていった。
そして開いている入り口にあるのは、人形の手の部屋へ吸い込む力に、腕力だけで必死に抵抗している敦の姿だった。
モ「如何して、ドアは確かに閉まったはずなのに!」
モンゴメリちゃんの驚く声が聞こえる。
彼女は一つ、見落としていることがあった。
それは“この闘いは最初から二対一”であるということだ。
敦が捕まり、ドアが開いた瞬間に、谷崎さんは【細雪】で扉の映像を偽装した。
先程に見たあの綺麗な雪は谷崎さんの異能だ。
敦が悲痛な声で叫んだ。
敦「本当は君にこの作戦を失敗して欲しくない。居場所を失って欲しくない!でも__僕は弱くて未熟だから、他に方法が思いつかない!」
モ「ッ!?これは……!」
今の私には確認することが出来ないが、モンゴメリちゃんに飾帯が結ばれているのだろう。
敦はモンゴメリちゃんに結んだ飾帯をたぐり寄せ、彼女を腕の中に拘束した。
敦「異能を解除して皆を解放しろ。でないと君を奥の部屋に引きずり込む」
モ「そんなっ……!」
鍵がなければ扉は開かない。なら、彼女がこの部屋に幽閉されれば、扉を開けられる人間は誰も居ない。
そうなってから彼女が異能を解除しても、彼女は元の世界に戻れない。
モ「あたしは……失敗するわけには」
敦「今から手を離す。決断の時間は、扉が閉まる一瞬しかないよ」
モ「だめ、待っ」
敦は引き込まれないよう耐えていた手を離し、敦とモンゴメリちゃんは人形の手に引っ張られるまま、暗闇へ吸い込まれてしまった。
瞬間、パッと変わる風景。
急な陽射しに目が眩んだ。
辺りから鳴らされる車のクラクションの音。人々のざわめき。安堵する声。
アンの部屋に居た人達は皆、街中の道路の上に座り込んでいた。
ゆっくり立ち上がり、凝り固まった身体を伸ばす。
『やっと帰ってこれた〜!』
?「そうだね」
『うおッ!?』
独り言のつもりだったのに隣から共感する声が聞こえ、驚きで男のような声が出る。
いや、そんな事より……
?「やぁ、久し振りだねぇ。元気だったかい?」
白衣を着て弱そうな男性を演じているその人は、ニッコリと綺麗な笑顔を向けてくる。
私はその人を睨みつけ、怒りを込めた声で言った。
『私に組合を差し向けておいてよくそんなことを言えますねぇ。__森さん』
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ニーナ(プロフ) - ふわふわさん» ありがとうございます!返信が遅くなり、すみません。作者の都合で非常に遅くなってしまいますが、続編はしっかり完結させるまで書く予定なので、気長に待って頂けると嬉しいです!面白いと言って下さり、本っ当にありがとうございます!! (2020年11月22日 21時) (レス) id: 65a2341deb (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわ - 文ストに最近ハマり始めました!本当に面白くて好きです!続編は更新する予定ありますか?もしよければ続きが見たいです(*^^*)これからも応援しています! (2020年11月15日 18時) (レス) id: 9f6e2c3f9c (このIDを非表示/違反報告)
ニーナ(プロフ) - 恋雪さん» ありがとうございます!好きって言ってもらえて、本ッ当に嬉しいです!投稿頑張ります。これからもよろしくお願いします! (2018年8月28日 13時) (レス) id: 15bf40c898 (このIDを非表示/違反報告)
恋雪 - もう本当好きです……これからも応援してます!頑張ってください! (2018年8月27日 23時) (レス) id: 2b765a4bd4 (このIDを非表示/違反報告)
ニーナ(プロフ) - ところてんさん» ありがとうございます!投稿頑張ります。これからも見守っていて下さい! (2018年8月18日 16時) (レス) id: 15bf40c898 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ニーナ | 作成日時:2018年1月2日 5時