【文豪ストレイドッグス】もし、退屈なこの世界を抜け出して、大好きなあの世界に行けたなら……！『第３！』

ホッと一息 ページ19

Aside

＿＿同時刻


谷崎と敦がモンゴメリと対面している時、既に囚われていたAは深い眠りから目を覚ました。


『ふぁ〜あ……』


口を大きく開けて欠伸をする。

人形の手のようなモノに拘束されているため、身動きが出来ず身体が痛い。


『あ、首つった！ 痛たっ、痛たた』


首を動かそうとする度にズキンと痛みが走る。

恐らく可笑しな体勢で寝たため、寝違えてしまったのだろう。

痛くない位置に首を固定して痛みが治まるのを待つ。


今は、何時ぐらいだろうか。

暗闇で何も見えない上、腕も動かせないために外がどういう状況なのか確認できない。

その時＿＿


谷「Aさん！ナオミ！」


谷崎さんの緊迫した声が何処かから聞こえてきた。

声の後、ガチャガチャと何かを開けようとする音が聞こえる。


……其処か。


右斜め前辺りから音がしたことで、この空間への扉の大体の位置が分かった。

彼が名前を呼んだということは向こう側からはこの空間が見えてるのか。

それに、此処の何処かにナオミちゃんも居る。


『良かった。ちゃんと思った通りにいった』


自分の思惑通りに物事が進み、ホッと息をつく。

正直、今回の行動は賭けだった。

なるべく皆を危険に晒さない為に賢治君の代わりになったが、それでは敦と谷崎さんが助けに来てくれない可能性があった。

……国木田さんとか私の異能力を過信してそうだし。

「彼奴は大丈夫だ」とか言ってそう。

まぁ、やろうと思えば脱出できるだろうけど。

敦君が来てくれないと彼とモンゴメリちゃんが出会わなくなり、今後の物語に支障が出るかもしれない。

その為の“約束”だったのだけど……


一般市民達「わあああぁぁぁ！」


何処からか大勢の悲鳴が聞こえてくる。

記憶の通りでは、これは巻き込まれてしまった一般市民達の逃げ出す悲鳴だったはず。


＿＿地獄の鬼ごっこがもう少しで始まる。

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