【文豪ストレイドッグス】もし、退屈なこの世界を抜け出して、大好きなあの世界に行けたなら……！

変人をオブラートに包んだ言葉は変な人 ページ39

敦「……という訳なのです」


敦が今までの経緯を太宰さんに説明した。

因みに太宰さんは、つい先程網から下ろしてもらえた。


太「何と、かくのごとき華麗なるご婦人が、若き命を散らすとは！何という悲劇！悲嘆で胸が破れそうだよ！どうせなら私と心中してくれれば良かったのに！」


うわぁ……変な人が居る。

太宰さんが女性の死体の傍に膝をついて嘆く真似をするが、
言っている内容は何処かおかしい。


箕「……誰なんだあいつは」


乱「同僚である僕にも謎だね」


太「しかし安心し給えご麗人。稀代の名探偵が必ずや君の無念を晴らすだろう！……ねぇ、乱歩さん？」


太宰さんが乱歩さんに問いかけるが、乱歩さんは肩を竦めた。


乱「ところが僕は未だ依頼を受けていないのだ。名探偵いないねぇ。困ったねぇ」


乱歩さんが１人の警官に目をつける。


乱「君、名前は？」


杉「じ、自分は杉本巡査です。殺された山際女史の後輩、であります」


杉本巡査って確か＿＿


『後輩兼、恋人でしょ？』


敦「へ？Aちゃん、何か言った？」


『ううん、何でも無い』


乱歩さんは杉本巡査に、六十秒でこの事件を解決しろと無茶ぶりを要求する。

太宰さんに弄られてる敦みたいに焦った杉本巡査は、山際女史がマフィアに殺されたと言いだした。


＿＿元マフィアが居るとも知らずに。


杉「もしかすると先輩は捜査で対立したマフィアに殺され＿＿」


太「違うよ」


杉「え……？」


太宰さんの低い声が妙に辺りに響いた。

皆の視線が彼に向けられる。

太宰さんは皆からの視線を気にせず、マフィア時代の知識を語る。


太「マフィアの報復の手口は身分証と同じだ。細部が身分を証明する。マフィアの手口は、まず裏切り者に敷石を噛ませて、後頭部を蹴りつけ顎を破壊。激痛に悶える犠牲者をひっくり返して、胸に三発」

さっきまでの調子は何処へやら、何処か遠い処を見つめながらえげつない事を言う。


改めて太宰さんがマフィアだったことを思い出した。


太「この手口、マフィアに似てるがマフィアじゃない。つまり＿＿」


箕「犯人の偽装工作！」


杉「そんな……偽装の為だけに遺骸に二発も撃つなんて……非道い」

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