【文豪ストレイドッグス】もし、退屈なこの世界を抜け出して、大好きなあの世界に行けたなら……！

乱歩さんが許可すれば大抵許される ページ36

『……ふぅ』


今は、襲撃で散らかった社内フロアを皆で片づけている。

勿論乱歩さんは何もしていない。


乱「国木田くーん、僕そろそろ名探偵の仕事に行かないと」


国「名探偵？……ああ、例の殺人事件の応援ですか」


乱「そう。警察がね、世界最高の能力を持つこの名探偵、乱歩さんの助言が欲しいって泣きついてきてさ」


乱歩さんは机に乗りながら自慢気に言う。


国「小僧に手伝わせます。……とりあえずおりてください」


彼は国木田さんに言われた通りに机からおりる。


国「おい、準備しろ。仕事は山積みだ。太宰も探して連れてけ。どうせその辺の川を流れてる」


敦「は、はい」


乱歩さんが急に私を見た。


乱「Aもついてきてよ」


思いもしなかった誘いに驚く。


『私ですか？』


そう問うと、呆れた様にため息をつかれた。


乱「君以外に誰がいるのさ」


『でも、どうして私ですか？』


乱「僕が推理するところを君に見せてあげようと思ってね」


彼は得意げにふんと鼻を鳴らす。


『其れは見てみたいです……だけど、いいんですか？』


私、まだ探偵社員じゃないよ？


乱「僕が許可しよう！」


乱歩さんがニヤリと笑う。


国「A、ここの手伝いはいいから乱歩さんについて行ってくれないか」


『あ、わかりました』


……よっしゃあ！乱歩さんの推理が見れる！


ーーーーーーーーーー


警「遅いぞ探偵社！」


現場につくと何故か怖い顔の人に怒られる。

見たことのある顔だが、名前を思い出せない。


乱「ん、君だれ？安井さんは？」


箕「俺は箕浦、安井の後任だ」


あぁ！思い出した。忘れていてごめんなさい箕浦さん。


箕「本件はうちの課が仕切る。貴様ら探偵社は不要だ」


その言葉に、乱歩さんはフッと鼻で笑う。


乱「バカだなぁ。この世の難事件はすべからく名探偵の仕切りに決まっているだろう？」


箕浦「フンッ、抹香臭い探偵社など頼るものか」


乱「何で」


箕浦さんの顔が曇った。


箕浦「殺されたのが＿＿俺の部下だからだ」

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