太宰さんからの質問(尋問) ページ29
太「さて、Aちゃん」
『は、はい、何ですか?』
急に太宰さんが真剣な顔になった。
周りの温度が数度下がった気がする。
太「単刀直入に言う。君は何者だい?」
『えっ……?』
太「君について色々調べてみたけれど、一つも情報が出てこない。まるで、元から存在していなかったように」
あの事を言うべきだろうか。
『……何者でもありませんよ。普通の、本当に普通の女子高生でした。色々あって今の状態になりました』
太「その“色々”の部分を詳しく聞きたいんだけど、言ってくれるよね?」
有無を言わせない、優しさの消えた冷たい眼。
言ってしまってもこの世界に影響は出ないだろうか。
恐らく、言わなければこの状況から逃げ出すことは叶わない。
出ない事を願って、ポツリポツリと今までの事を話し始めた。
『……ある日、夜中に家に誰かが来ました。こんな時間にいったい誰が来たんだろうと思って外を確認すると、そこには何故か誰も居なかったんです。不思議に思いながら部屋に戻ろうとしたその時__』
一つ一つ、あの時の事を話していく。
今でも鮮明に思い出せる。
前に居る太宰さんは真剣な表情で私の話を聞いている。
『__私は、後ろから誰かにナイフで刺されました。力を失い地面に倒れ、意識を失いました。たぶんその時私は……死んだんだと思います』
太「っ!?」
太宰さんの表情が驚きに変わる。
太「死んだ……?じゃあ今の君はいったい……」
『自分でも良く分かってません。死んだ筈の私は、自分のベッドの上で目を覚ましました。あれは夢だったのではないか、そう思いました。……外に出るまでは』
太「どういうことだい?」
『外の景色が違ってたんです。私はこの街に住んでいませんでした。何故自分が此処に居るのか判らず、川を見ながら途方に暮れていた処に、太宰さんが上流から流れてきました』
太「……真逆、倉庫内で見たあの傷痕は刺された時の」
『そうだと思います』
辺りに沈黙が訪れる。
太宰さんは何かを考える様に目を閉じた後、
少しして、目を開けると同時に口を開いた。
太「とても信じがたい話だけど、傷痕もあるし、嘘を言ってるようには見えないね。……君についての情報が一切無いのは何故だい」
『……私が言えることは、私が居た世界は、ポートマフィアも探偵社も、異能力さえ存在しない、比較的平和な世界です』
太「……」
此れを聞いて、太宰さんはどう思ったのだろう。
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華月姫(プロフ) - ニーナさん» はい!時々見に来ますね(*'▽') (2017年6月16日 0時) (レス) id: f5f2dd91a6 (このIDを非表示/違反報告)
ニーナ(プロフ) - 華月姫さん» コメントありがとうございます!面白いと言ってくだって、とっっっても嬉しいです!少し更新が遅くなったりしますが、これからも投稿頑張ります!この作品をこれからも見守っていて下さい!宜しくお願いします! (2017年6月16日 0時) (レス) id: 15bf40c898 (このIDを非表示/違反報告)
華月姫(プロフ) - 最後に、これからも更新頑張ってくださいね!(^^)!応援してます!! (2017年6月15日 22時) (レス) id: f5f2dd91a6 (このIDを非表示/違反報告)
華月姫(プロフ) - イベント参加ありがとうございました!すみません、読むの遅くなってしまって・・・。お話読みましたが、とっても面白かったです!夢主ちゃんのツッコミが特に面白かったです(^^;)トリップものは最初からみんな知ってるのでいいですよね! (2017年6月15日 22時) (レス) id: f5f2dd91a6 (このIDを非表示/違反報告)
ニーナ(プロフ) - ちゅらさん» コメントありがとうございます!!最近投稿が疎かになっていてすいません。これからも応援よろしくお願いします! (2017年3月29日 14時) (レス) id: a9ef15ca11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ニーナ | 作成日時:2016年11月16日 15時