＃この続きは、薔薇の下で ページ6
＊side You
きっかけは些細な事だけど、やっぱり時間が経てば経った時の方が事の重大さに頭を殴られる。私はまだ20歳になっていなくて、センラさんと年が離れていて、この年齢差をどうこうすることなどできないから。私が、これは、
(…私が、悪い)
手の中の紙切れが、ぐしゃりとタイミングよく潰れた。
【水族館ペアチケット】
・
「そうだよねぇ」
初めての喧嘩だった、売り言葉に買い言葉とはまさにこれの事。一度頭の理性が一秒でも一瞬でも切れたら話す口はもう止まらない。後悔するのは次に回して一気に言ってしまう。きっかけは、何だったけ。じゃれあいのはずだったかわいいふわりムードは消え去り、私は地べたにへたり込んで彼の言い分を聞く。センラさんは、怒っていた。
「Aにはまだ分かんないよね。俺のことなんて、分かんないよねぇ」
ドアが閉まった。ガチャン、機械音がやけに耳に張り付いて床に身体はくっついて離れない。責止めされたかのように言いたいことが詰まって、手が行かないでと抵抗して動く。それもまた一興、手は当たり前に空を切るだけだ。
「まだAは子供だもんね。」
重たいものがのしかかってきた。たくさん急に重くなるから、うつぶせに倒れた。自分の背中に意志がゴロゴロ居座って。それは今までもあったけど、苦しい時はその存在が普段より大きく感じて。急に来てしまって、急にふと考えだしたら止まらなくなってしまって。…私、どうすればいいの、って自己嫌悪とか、不安とか。人は、辛い時こそ一緒に居なくては、辛いよ。
(せんらさんと、…けんかしてしまった)
・
「てことでさ、」
「これ、あげる」
潰れてしまったチケットだけど、何回か延ばせばまだ使えるし、そんなに目立つほどでもない。あげると言った友人は明らかに不機嫌な顔をして、私のもやもやをまた出そうとさせるから。どうせ今日行く予定だったチケットも、別の予定が増える人に役立てれば他愛もない容易い事。
「…喧嘩。しちゃったか」
「…うん」
自分で言いにくい事を、他に言ってもらったらつっかえが喉を通って私はだからきっと、泣いてしまった。ぽたぽた垂れる涙が、スカートに後をつくっていった。
「仲直りは、しないの」
「…わかんないよ。向こうが許してくれないかもしれないし」
私を支えてくれる友人はチケットを差し出しても、ありがとうと言ったけどまだ受け取っていません。私の話に、淡々と頷くだけでした。
・
「あーあ、最悪だねぇ」
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ヒロ(プロフ) - 消えた字、見つけた。好きです。頑張って下さい。 (2019年11月14日 23時) (
レス) id: 7769e45292 (このIDを非表示/違反報告)
雨上がりのcrew(プロフ) - すごい。。。この作品私得←これからも更新頑張ってください！！ (2019年7月7日 15時) (レス) id: 11f12a305b (このIDを非表示/違反報告)
とある暇人 - 文章が読みやすくて一気に読んできました←これからも更新頑張って下さい！ (2019年1月15日 19時) (レス) id: 09ab6582bb (このIDを非表示/違反報告)
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