#甘いものを食べましょう ページ1
*side Senra
「センラさん、甘いもの食べませんか?」
電話越しの声は生殺しだ。しっかり殺してくれない。耳にかかる声が、なんだかささやかれてるみたいな感覚に陥っていくから、この感覚を引き延ばしたくて眠そうな声の彼女になんとか起きてもらってる。でもそろそろ本当に眠くなってるぽくて、だんだん相槌も話し方もゆっくりゆったりのペース。そんな声もかわいいと思うが、そろそろ寝かせていげないと明日に支障がありそうだ。うつらうつらと枕に顔がうずまってく彼女の様子が容易にできて、近くで見たいとなんだか思ってしまった。いつか隣で毎日でも見れたらいいんだけどな、でもまだ周りが許してくれない。結構年と時間の関係は大変なのである。
「ええの?最近学校忙しい言うてたやんか」
あくまでも紳士的に断った方がいいかと思った。お互い会えないから始めた電話のやり取りは案外思ってたよりも続いていて。会えないなら会いに行くのが基本だが、彼女以外の女子ははっきり言って苦手な部類だ。高校を楽しむのは全く問題ないが、香水の量は考えた方がとてもいい。彼女に今度香水をあげても良いかもしれない。笑顔がよく似合うから、黄色が似合う。はっと気づいた、…俺の色やんか。どんどん無意識に独占欲でてんなぁ、口元が緩んで。んふふと笑ってしまった。
「明日日曜日ですよ?遊びに行きたいんです〜!!」
…これはもうにやけた。とてもにやける。眠くなって多少以上のゆるゆるになった彼女はぺらぺらとこっちのことなんかお構いなく「センラさんと会いたい」だとか「私居ない時何してるんですか」とかかわいすぎることばっかい言う。だめだ、紳士的に。必死に止めた思いを深呼吸でまた沈めて。
「ええよ。あそびいこ。スイーツたべまくろーな」
「んん、センラさんとすいーつたべます…」
「ん、後からメール送るから」
「…早く明日にならんかなぁ…」
「わ、たしも」
はやくあいたいです。
ぶちっと突然切れた電話の、ツーツー通話終了の音だけが部屋に残った。
やっぱり電話は生殺しだ。
顔が、熱い。
(いいにげとか、ずる)
・
*side You
「ど、しよ」
布団をかぶって自分の言ったことを思い返してまたどうしよとうなる。無理、言っちゃったぞ。終わった時間を簡単に戻せたならいいのに。足はひんやりとしているが、顔だけが周りがあったかかった。まぁ、でも
(…センラさんに、会いたいんだよなぁ)
今日の夜は熟睡できそうだ。いい夢を、おやすみなさい
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ヒロ(プロフ) - 消えた字、見つけた。好きです。頑張って下さい。 (2019年11月14日 23時) (レス) id: 7769e45292 (このIDを非表示/違反報告)
雨上がりのcrew(プロフ) - すごい。。。この作品私得←これからも更新頑張ってください!! (2019年7月7日 15時) (レス) id: 11f12a305b (このIDを非表示/違反報告)
とある暇人 - 文章が読みやすくて一気に読んできました←これからも更新頑張って下さい! (2019年1月15日 19時) (レス) id: 09ab6582bb (このIDを非表示/違反報告)
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