料理オタク彼女の非日常【黒バス】

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事件が起きたのは、久しぶりのデートの日だった。


高校を無事に卒業し、T大学へと進学することになった今吉は、泣く泣く愛しの彼女と離れた。


新天地での生活はそれなりに充実していたが、やはり物足りなかった。


連絡も取り合っていたが、文字を見て声を聞くと、会いたくなってしまうのだった。


そして待ちに待ったGW。


気合いを入れて、込み上げる喜びを抑えながら彼女の家に赴いた。



ﾋﾟｰﾝﾎﾟｰﾝ…


ｶﾞﾁｬ……



「はーい…。……あ、どうも。」


「久しいの〜弟くん。元気しとったか？」


「普通ですね。どうぞ入ってください。」



弟くんが相変わらず今吉に対して警戒心を抱いている事に、変な懐かしさを感じながらリビングに通してもらった。



「おじゃまします〜…おぉ、またこれは豪華な料理やなぁ！」



机に並べられた、おもてなしの品の数々。


それらは以前よりもランクアップしていた。



「あ、どうも。先輩、適当に座っちゃってください。」



キッチンから料理を持って出てきたのは、綺麗に髪を纏め、うっすらとお化粧を施し、季節感溢れる上品な服を着た、美しい女性だった。


今吉は静止し、目は全開、口は半開きのままその女性を見つめた。


久しぶりに会えた嬉しさと、驚きが顔に現れてしまったのだ。


(ワシの知ってる瀬村さんは、料理以外に無頓着で、どちらかと言うと可愛い系女子や！！)


混乱で立ち止まる今吉に、瀬村は話しかけた。



「先輩？何呆けてんですか…料理冷めます。熱い内に食べるのが一番美味しいのに、早く食べてくださいよ。」


「瀬村さんや…。」



確認できた今吉は、渋々と椅子に座った。

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