料理オタク彼女の非日常【黒バス】

38：その名前は ページ39

「このお菓子…珍しいわね。」


「見たことないな…。」



誠凛の監督さんとザクロ君がマジマジとそのお菓子を見つめる。他の人もそうしてて笑える。


でもトマト君は分かってるみたい。めっちゃ笑ってるもん。さすがトマト君、格の違いを見せつけてくるわね！！



『このお菓子の名前は"セムラ"。』



そう、私の名字と同じ名前のお菓子なのだ。



『スウェーデンの伝統菓子で、中身がくり抜かれたカルダモン味の甘いパンの中にアーモンドペーストと牛乳を混ぜ合わせたものが入ってます。本当はその上にホイップクリームが添えられたりするんですよ。』



中が抉られたパンのように中身がスッカラカンで逃げることしか知らなかった甘い甘い私に


皆さんがアーモンドの香ばしい匂いのように私を導き


牛乳の舌に残る独特な味で私を優しく包んでくてた。


そうして完成された今の私。ほら名前も含めて私にピッタリじゃない！！



『どうぞ召し上がってください。』



そう言うと、一斉に皆さんが食べ出す。


ほら、よく味わって？違うでしょ？


実は今まで使ってた調味料を少し変えてみたんです。


今までの調味料は"自己満足"って言う、偽物調味料だったんだけど今回から"本物"の"幸福"と"笑顔"と"感謝"。


そして過去と同様に"愛"をたくさん入れてみた。



「優しくて、食べやすい。」


「あー！！うんめぇぇえ！！」


「幸せ〜♪」


「ありがとうございますAさん！！」



恩返し出来たみたいで良かった…。


私も手元にあるセムラを一口。


うん、最高に美味しい。

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