19:救いの手 ページ20
私、この合宿してからよく人に関わるようになったと思う。
「瀬村さん、少し表情が柔らかくなりましたよね。以前は料理のことでしか笑いませんでしたし…」
ほら、夕飯後のお皿洗いを手伝ってくれているラムネ君もこう言ってるし。
『そーかなー。』
「はい。合宿に誘った甲斐がありました。瀬村さんは何でも独りで抱え込んでそうだったので。」
『…?』
「クラスメイトと話すときとか見て思ったんです。瀬村さんは来るものを拒まず、かと言って受け入れもしませんよね。」
『んー…』
「お昼休みは必ず何処かに行ってましたし…」
『よく見てるね。』
「趣味が人間観察なんです。」
わぁお。
「自分を出さないことは苦しくありませんか?」
『私を出す…出してるけど。ダシを出す(笑)』
「料理好きはカモフラージュですよね?」
あるぇースルーされた、結構良いギャグのつもりだったのに…おかしいなぁ。
「足りない何かを埋めるために、気付かないふりをして隠すために、行き場のない気持ちを料理にぶつけて誤魔化しているように見えます。」
『それは…』
「僕は、瀬村さんに似た人を知っています。だから僕は彼も、瀬村さんも救いたい。」
『どうしてそう思うの。』
ラムネ君は私の目をしっかり見て言った。
「二人とも、とても悲しい目をしています。それに、気付いていません。手を差し伸べている人たちがすぐ傍にいることに。」
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渚果 - 弟くんのキャラが良いw (2016年4月1日 12時) (レス) id: 0803d34072 (このIDを非表示/違反報告)
菜の花(プロフ) - あぁっ!今吉さんと夢主ちゃんさいっこう!です! (2016年1月9日 20時) (レス) id: 82aaf89713 (このIDを非表示/違反報告)
瀬戸なごむ(プロフ) - ありす(廿_廿*)さん» ありがとうございます(涙)温かいコメントを頂けて幸せです!!更新頑張ります!! (2015年12月14日 22時) (レス) id: 8b6b6b7e65 (このIDを非表示/違反報告)
ありす(廿_廿*)(プロフ) - 夢主ちゃんんんん……!! 味覚戻ってよかった!おめでとう!!久々に占ツク戻ってきたけど相変わらず素敵な小説ですね!まだまだ続きが待ち遠しいです! (2015年12月13日 15時) (レス) id: 9863aa1535 (このIDを非表示/違反報告)
瀬戸なごむ(プロフ) - K・Mさん» すみません遅くなりました。ありがとうございます! (2015年11月29日 16時) (レス) id: 8b6b6b7e65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瀬戸なごむ | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2015年5月5日 23時