4章 傀儡少女に死ねよとて ページ33
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光の速さで、私の偏ったイメージが脳内を駆け巡る
主に、洋画の殺し合いのシーンに似たモノが。
少し震えた左手をそっと後ろに隠すと、森さんは「そんなに怯えないで」と私との距離を詰めた
彼の体重で、ベッドのスプリングがゆっくり軋む
「君が想像するような事はさせないから」
「今はただ……此処でエリスちゃんと遊んで、偶に私と話をすればいい」
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"必要な物は揃えるし、外にも出られるよ"という台詞を口にしならが頬に冷たい手が触れる
逃げようと思うのに、足は動かない
私の本能が、"逃げてはいけない"と叫んでる
「勿論乱暴なことはしない。」
頬から顎へ、顎から喉へ。
まるで蛇のように、長い指は鎖骨を滑って偽物の体を、するりと撫でた。
『わ、私は……』
「ん?」
有無を言わせない威圧感が肌を刺す
まだ手は震えている。それでも、僅かに残った気力を振り絞って私は伝えた
『私は、探偵社に……居たいんです。
あの暖かい人達と、一緒に過ごしたい』
"レイちゃん!"
"ようこそ、探偵社へ"
今生の私が願う、たったひとつの事を
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side 森
『だから私は貴方の元へ、行けません』
久々に会った彼女は、変わっていた
単純な心境の変化では無い
喩えるなら、形は同じモデルだが他人の人形になっている。見た目は同じだけれど、何処か決定的に、違うのだから
『"先生?"』
嗚呼、なんて事だ
姿形は変わっても、何時も同じだった憂いを帯びた青い瞳は
「(……眩しい位だ)」
眩しい光を放つ、別物に変わっていた
記憶が無いという事は、人格も消える
然し、その人間の根本が変わる訳では無い筈だ
けれど……彼女は5年間で染み付いたモノまで無くしてしまっていた
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____其れもまた一興、か
私は僅かに歪んだ口元を隠す
若かりし頃、戦争の中心で目にした
「そうか。なら、探偵社に帰るといい」
『へ?』
あの娘の瞳が光を灯さなくなるその瞬間を、思い出しなら。
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本作の森さん、ラスボス感強い。
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めろんぱん(プロフ) - よしなさん» ありがとうございます! (2019年1月2日 23時) (レス) id: 0025d5f8f2 (このIDを非表示/違反報告)
よしな - とっても面白いですね!正月時で忙しいとは思いますが更新頑張って下さい!とても楽しみにしております! (2019年1月1日 20時) (レス) id: 383b340c0d (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - Rei@すいオレ,さん» ありがとうございます! (2018年12月31日 22時) (レス) id: 0025d5f8f2 (このIDを非表示/違反報告)
Rei@すいオレ,(プロフ) - 更新頑張って下さい!! (2018年12月31日 18時) (レス) id: f1f3cb152e (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - 家から出たくない主義さん» ありがとうございます!頑張ります|ω´) (2018年12月30日 18時) (レス) id: 0025d5f8f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めろんぱん | 作成日時:2018年12月28日 17時