03.七並べ ページ4
【ハートの3】
彼氏とのデートを楽しんで家に帰宅する。ふと帝統から貰った箱のことを思い出し、開けてみることにした。丁寧に包装を解いていく。
『……これ、』
中から出てきたのはピアスだった。シンプルなデザインの大きな金色の輪。だが、箱からしてかなり値が張るものに違いないだろう。
少し考えた後に携帯を取り出し、有栖川帝統と登録された連絡先を押す。直ぐに無機質なコール音が鳴り、8コール目で聞き慣れた声がした。
「A?何か用か?」
『帝統、このピアス……』
「ん?……あぁ、あれか。いつものお礼だよ、お礼。別に気にすんなって」
『気にするなって言われても。これ、そこそこ高いよね。素直に貰っておくわけには』
「いーから!!んじゃ、俺これからギャンブルなんだ。じゃあまたな!!」
プツッと音を立てて電話が切れる。慌ててかけ直すものの、一行に出る気配はない。大きな溜め息を溢し、箱の中のそれを見て沈黙。
帝統が付けそうにないデザインだ。返しても迷惑になるだけだろう。ならば貰っておくのが良いか。悩むも結局貰っておくことにした。
本当にたまに。こうして帝統は色んなものをプレゼントしてくる。これがまた、とてもセンスがいい。育ちの良さが伺える。そういえば。
『帝統の家族の話、聞いたことないな……』
家族というか実家というか。そういうデリケートな部分は踏み入ってはならないのだ、と自分から線を引いてしまって聞いたことがない。
そりゃあ、なんというか彼は雑な男だ。でも、たまに品があるというか。良い教育を受けたのだろう、と思わせるような仕草がある。
いつかは彼の話も聞いてみたい。そう思いながらピアスから視線を反らした。
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すたぁあろぉー - 甘々、独占、ときて略奪…うん。好きです。 山田君とのお話の題名、日を分けて全て作ってみましたが、全て私好み味でした! そしてやっぱり設定が細かい…!すきぃ…もうめっちゃ応援してます!! (2021年2月5日 0時) (レス) id: 7e61cd56ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セニオリス | 作成日時:2019年8月18日 9時