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感情の名 ページ8

欠伸をしながら躰を伸ばすフョードルは、ゴーゴリが居ないことに気付いた。だが、今に始まったことでは無かったので別段、気にも止めずに外に出歩いた。彼女を一目見れるだろうカフェに進むフョードルだが、ゴーゴリが彼女と一緒に居るなんて彼はまだ思いも寄らなかった。
其の頃、ゴーゴリは偶然に彼女と鉢合わせると一緒にカフェへと向かい始めた。
「君と鉢合わせるとは思わなかったよ!」
「私もです」
彼女はニコッと微笑む。
ゴーゴリは世間話をしようとした矢先、向かい側にフョードルが居ることに気付いた。
「あ、ドス君!」
彼は、ゴーゴリと彼女を見ると眉間に皺を寄せて震えそうになる声で云う。
「...如何して、ゴーゴリさんとAさんが一緒に居るのですか...?」
「其れは...っ」
彼女の制止を聴かずに走り去って行ったフョードルを見て、彼女は落胆する。
「大丈夫だよ」
ゴーゴリは、優しい声音で彼女を落ち着かせる。
「ドス君をちゃんと連れて来るから、カフェで待って居てあげて?」
「はい...」
彼は微笑むと、一瞬で其の場から消えた。

─其の頃、
「っは、はぁ、はぁ...っ」
路地裏に着いた時には、フョードルの息は激しく乱れて居た。体力切れで壁に凭れてズリズリとしゃがみ込んだ。
「如何して…こんなに苦しいのですか...辛いです...感情に振り回されるなんて思いもしませんでした…。誰か.....此の感情の名を、教えて、下さい...」
半ば、懇願するようにフョードルは指を組んだ。

「日本では、其の感情は恋って云うんだって」

突然聴こえた声に、フョードルはバッと顔を上げる。
「な、何故此処に...」
「ドス君、辛そうだったから」
哀しげに彼を見つめるゴーゴリだったが、一から説明をした。彼女と鉢合わせたのは単なる偶然で大した話は、して居なかったこと。
「彼女、カフェで待ってる」
「!」
其の言葉を聴いたフョードルは、カフェへと走り出した。
「...頑張ってね、ドス君」
其の言葉は、虚空に消えて誰にも届きはしなかった。

「は、はぁ...はぁ...っ...!」
息を整えるよりも少しでも早く彼女の顔を見たいという一心で走り続けるフョードル。
彼は、自分の気持ちに漸く気付いたのだ。
でなければ、こうして走っては居ない。
彼は想った。

"僕は、彼女が好き。彼女の魅力に僕は溺れてしまいました...今は伝える勇気はありません、其れでも何時か伝えます。

僕だけの愛しい人であって欲しい"、と

道化師の隠した本音→←如何しても



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猫袮(プロフ) - 朱鷺の砂さん» ありがとうございます! (2018年9月16日 10時) (レス) id: ee976ad875 (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺の砂 - すごく面白いです!続きが気になります!更新頑張ってください…応援してます!! (2018年9月8日 21時) (レス) id: c2940fbcc7 (このIDを非表示/違反報告)
猫袮(プロフ) - Tsuki☆さん» マジすか、有難う御座います(´;ω;`) (2018年8月29日 17時) (レス) id: ee976ad875 (このIDを非表示/違反報告)
Tsuki☆(プロフ) - ひぇぇ、ゴードス可愛い有難うございます(´;ω;`) (2018年8月29日 16時) (レス) id: 36c9c3900e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:猫袮 | 作成日時:2018年7月17日 21時

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