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Aが俺らやマネージャー、更には指導者側全体の熱中症を懸念して、今までの練習より休憩時間が多かったりペナルティが変更になったりと手を打ってくれていた。しかしこのとち狂ったような暑さだ。倒れるヤツがいてもおかしくねぇ。逆に今まで誰1人として出ていなかったのが俺は奇跡だと思う。
『直井コーチ、次の練習試合の記録付けお願いできますか』
『っおう、分かった』
凜は生川ベンチでの光景を見て、手にしていた記録用紙を直井コーチに半ば押し付けるように渡してから生川ベンチへ駆け出した。
(A自身だって疲れているはずだろ、なんで……!)
『っ!おいA──────』
『英里!私も手伝う!』
俺が堪らず伸ばした手は空を切る。
かけた声ですらもAには届かなかった。
『……俺らが少しでも休んで欲しいと思ってドリンク配りしたけど、走っていっちまったな…。まぁAらしいけどな……』
『ッ………。帰ってきたら絶対『当分動くな!』って言ってやる…、!』
『夜久さぁ〜んその顔怖いですよ、Aちゃん震え上がるかもしれませんよ』
『るせぇ。Aはこれくらいでビビんねぇよ』
『まぁそうだけどさァ。割とマジで結構怖い顔してるよ?なぁ海』
『ああ、落ち着け夜久。気持ちは分かるから。な?』
『っっ………………。』
生川の1年は何も悪くないし責めるつもりも毛頭ないが、確かに苛立ちを覚えてしまった。すまない。
だけどそれくらい、人のために動くことを厭わないAを見て、どこか禍々しい感情も覚えてしまったのは、どうしてだろうか。
『────────っおいA…!!』
練習試合中に音駒のベンチに戻ってきていたAは相も変わらずテキパキ動いていて、本来ならやりがいを感じてテキパキ動いてくれているその姿を見て安心するのだが、それを見て暑さも相まってか頭に血が昇ってしまった。
『────────それ以上動くな!!!!!』
半ば八つ当たりのようにその細い腕を無理やり引っ掴んで、そう強く言ってしまった。今になれば女子に、ましてや華奢な女子にすることじゃねぇと思う。怖がらせちまったかな。
『ッ……!!!』
それに対して怖気付くどころか、猫っぽい目で威嚇するようにキッと睨み返してくるAに正直少しだけ驚いた。整いすぎているせいで迫力も恐怖もあったが、黒尾と海が仲裁をしてくれたことで、Aは分かった、と聞き入れてくれた。
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作者名:RiN | 作成日時:2024年3月18日 5時