誕生日おめでとう ページ33
12月3日、アイツの誕生日。別に祝ってやる義理とかないけど。そもそも俺が祝われてないし。
それでも記憶の片隅にずっと引っかかって取れない。
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「お前さ」
「あ、はい」
「なンか欲しいもんとかないの」
「え、もしかして誕プレとかだったりします!?」
「他に何があンだヨ」
スマホを眺めていた佐藤が身を乗り出してそう俺に返す。他に何があンだヨ。とかなんとか思っていたら既に言葉として口から紡がれていた。
「えてか誕生日覚えててくれてんですか!?」
「自分から聞いて忘れるわけね〜だろ」
大げさに喜ぶ姿に思わず俺は呆れた顔をして佐藤の側頭部を小突いた。
話は滞りなく進み、最終的に映画館へ行くことに決まった。正直あんま興味ねーけど、佐藤の誕プレなわけだしお誕生日サマの意見に素直に従うことにした。
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待ち合わせの時間1時間前。映画見るだけってのもアレだし、なんかテキトーに誕プレ買うか。なんて珍しいことを考え早めに家を出たのに。
「お、……前……。なんで居ンのォ……」
「あ、荒北さん!!!??」
「俺時間間違えた?」
耳と鼻の頭を赤くした佐藤が壁際に佇んでいた。時間を勘違いしていたのかと焦る俺。
「時間は合ってます。私が1時間早く来ちゃっただけで……」
「マジでなんで?」
「諸事情で……」
「意味がわからん……」
質問にそう返してきた佐藤に、やっぱりコイツは俺の理解の範疇を超えていると、そう思う。後輩に不思議チャンは2人も要らねェんだヨ。
―――――
観ることになった映画はスプラッタ映画。片手にはベプシ。座っている席がカップルシートであること以外は完璧だった。座っている席がカップルシートであること以外は。佐藤も隣で気まずそうにチケットを見つめている。そんなに見るとこある? それ。
照明が落ち始まった映画は普通に面白かった。ストーリーは意外な展開だったし。……後味の悪さは凄かったが。佐藤も満足そうで、いつの間にか片手にパンフレットを持っていたのには驚いた。
「……なんか食い行く?」
「荒北さん勇者っすね。行きますけど」
……集合時間が早まったせいで帰るにはまだ大分日が高い。買えなかったプレゼントのことを思い出し、俺は佐藤にそう持ちかけた。店は回転寿司に決まったので、寿司食って奢って解散した。結構楽しかったし、クリスマスもどっか誘うかな。
ラッキーカラー
あずきいろ
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しばた - 続きお願いします! (7月18日 16時) (レス) @page33 id: 1b4d124720 (このIDを非表示/違反報告)
敏腕プロデューサー(プロフ) - ひー&ラテさん» 何故かまた閲覧数が伸びてきているのでやれるだけやってみます……(. . `) (2021年8月12日 17時) (レス) id: fcb79e9045 (このIDを非表示/違反報告)
ひー&ラテ - 続きが凄く気になります! (2021年8月12日 8時) (レス) id: fe37a82818 (このIDを非表示/違反報告)
敏腕プロデューサー(プロフ) - 桜音姫さん» 楽しみにしてくださっていたのに大変申し訳ございません……(. . `) (2021年8月12日 4時) (レス) id: fcb79e9045 (このIDを非表示/違反報告)
桜音姫(プロフ) - もう少しで完結しそうなので完結までいってほしかったのですが残念です(^_^;) (2021年8月11日 19時) (レス) id: 3bb8706b83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鳥居巫女 | 作成日時:2020年2月12日 2時