30話 ページ30
どんな状況の中でも、楽しみは残っていた
アンジェリーナがクィディッチのチーム活動の許可を得られたと嬉しそうに皆に話し回っていたのを思い出す
私もクィディッチの試合を楽しみにしていた
今日はロンのデビュー戦だ
スリザリン生がロンに嫌がらせしているのに気づいては黙らせ呪文をコッソリとかけていたけど、キリがない
ロンが気にせずに実力を出し切れれば良いけど…
そんな思いを抱えながら、私はグリフィンドール側の端の方の席に1人静かに座った
ここならスリザリンと距離が近いから誰も座りたがらないし、邪魔にもならずに観戦できるだろう
暫くすると、ついに選手が入場し、上空に飛び上がった
試合開始だ
今日もリーくんの実況で試合は更に盛り上がりを見せる
しかし
耳障りな歌がそれに負けじと大きく聞こえてくる
「ウィーズリーは守れない 万に一つも守れない だから歌うぞ、スリザリン ウィーズリーこそ我が王者」
くだらない、と無視して試合に集中していたが、ロンはそうもいかないのか顔色が良くない
その間にもスリザリンが二回、三回、四回…続々とゴールを決めた＿40対0だ
しかし、アンジェリーナがゴールを入れたことで、点差は30となった
まだ大丈夫
スリザリンのシーカーであるドラコのことは応援したいけど、スリザリンに頑張ってる皆が負けるのは嫌だ
チームとしてはあくまでもグリフィンドールを応援してしまう
大きくなっていく隣から聞こえる歌声に＿近い所に座る数人は黙らせることはできたが、私の力ではスリザリン全てを黙らせることはできず＿少し苛立った
しかし、私が目を離した隙にシーカーの2人はスニッチを見つけたらしく、すごい勢いで急降下していた
抜きつ抜かれつ…あと数10センチ…息詰まる二秒間の後、スニッチを手にしたのは…
リー「ポッター！ポッターがスニッチを捕まえ試合終了！」
大きな怪我なく終わって安心した…と思った矢先にハリーの腰にブラッジャーがまともに当たった
ハリーは箒からおちたが、幸いにも地上からそこまで離れていなかった為に大事には至らなかった
『誰があんなことを…！』
私は頭に血が昇り、観客席を下りて、気付けばピッチの入り口まで来ていた
しかしそこでハッと理性を取り戻した
私が行ってもハリーは困るんじゃ…怪我もないようだし、犯人のもとには先生が飛んで行ったし…
私が出る幕ではない
そう気づいて立ち止まった
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作者名：葱 | 作成日時：2020年5月6日 16時
