夏風宅急便【橙】

14話 ページ14

私は休憩所のテーブルを使って、
クール便伝票の仕分けを黙々としていた。



途中受付にお客様が来ないか心配だったけど、
幸いそれはなく、無事にクール便の仕分け終わった。

こんなにすんなり仕分けられたのは、この一覧表のおかげか？





改めて一覧表を眺めて…わかったこと。

桐山さんは案外几帳面であることだ。

桐山さんにもらった一覧表はただコースが書いてあるだけではなくて、
転居になった住所の記述や集荷の時のトラブルなど
事細かにメモしてあった。




きっとこれだな、仕事は完璧と言われる所以は。






て言うかこれ…。

もう捨てるとか言ってたけど、本当は大事なものなんじゃ…。



と思っていたら…








桐「はい、はい。なるべく早くのお届けで。

はい、はい。承知致しました。失礼します。

(ピッ！)

チッ、くそ…あの親父ほんとめんどくさいんだよなぁ…。

何度言ったらわかるんだよ…。」








ビクッ！

出た。桐山さんの舌打ち＋盛大な独り言。



まぁ、受付やっててもそうだけど、
対応がめんどくさいクレーマーは必ずいる。

ドライバーとしても、自分たちが悪くないケースもあるから、
ストレス溜まるわけですよ。





桐山さんはすぐに思ったことを口にしちゃうタイプなのか？








桐「仕分けできた？」





A「え？」





桐「クール便の伝票の仕分け。Dコースくれる？」





A「え、あ、はい。はい、こちらがDコースです！」





桐「ん。」








桐山さんは、短い返事をすると、
今日に限って多いだの、伝票びしょ濡れだの
ブツブツ言いながら、水分補給をして持ち出し作業に戻っていった。



わ、私、悪くないもん…ね。

私は伝票剥がしただけだもん。はは。





よし、私も各コースに仕分けした伝票を届けて…

今度こそ受付業務だ！









・









あ…。あの時一覧表お返しすればよかったかな…。





ってあれ？

そう言えば、なんやかんや桐山さんと話せ…てる？

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