思い出の中のキクラゲ4

環境動物 ページ28

人は環境動物と言っても過言では無いくらい


環境に左右される

そんな小説を学生時代に読んだ


「Aちゃん、そこのハチミツ取ってくれる？


ギリシャヨーグルトに入れたくてさ。


発酵食品摂ると身体にやっぱり良いらしくて、デザートに追加しようと思ってね！

どう？」


iPadでサイトを見ながらささっと調理をしてる亮さん


長くてクルクルしてる茶色い前髪が目にかかって鬱陶しそう





気付いたら手が動いてた。



「え...？」



びっくりした表情の亮さん




気付いたら亮さんの前髪をかき分けて自分のヘアピンで留めていた。




「...ははは、ごめんなさい！私なんかが余計なお世話でしたよね！」



先走った自分の行動が恥ずかしくなった。



駄目だなぁ、自分と他人は違うのに。


迷惑かもしれないのに。


こういう癖、治さなきゃ



"ぶりっ子が！また男にちょっかい出してるよ！


どんだけ構ってちゃんなんだよ笑"



学生時代の嫌な記憶がぶわっと思い出す





あぁ、辛いなぁ







「俺Aちゃんのそういうとこ、すげー好きだよ。


いつも一歩早く行動してくれて救われてる。



俺の大事な子、自分で虐めてんじゃねーぞ？」



そう言って有無を言わさず亮さんの細くたくましい腕にギュッと包まれた。


鼻に吉沢さんの柔軟剤の柔らかい香りが伝わる。


温かい言葉に涙が溢れた。





人は環境によって変われる。



受け取り方によって救われることがある。



私にとっては亮さんが


太陽だった。

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