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_あんな終わり方、あるんだ。
汗で滑ったボール。落ちるまでは、ゆっくりに見えたのにコートに落ちてしまった。
ただ3セットやっただけじゃない、この試合はラリーが長かった。その分ボールにもコートにも汗はつく。すごい試合だったから…
コートにいる黒尾は終わりを悲しんでいるよりスッキリした顔をしていて、なぜか少しだけ安心した。
「おーす」
「お疲れ様」
「女バレはまだ見ていくの?」
夜久と海の2人だけしかいないことに気がついた。1年生も2年生もいるのにどうして黒尾だけいないんだろう。
「ねぇ」
「なに?」
「女バレ解散自由にして、私の事待ってなくていいから。」
「おっけー。」
全部頼りになる鬼に任せて、探しに行くことにした。私だって頼ってばかりで終わるのは嫌だから。
「あ」
「チワッス」
「影山くんお疲れ様です」
「あざっす」
音駒が負けた相手なのに、悔しい気持ちはあるけどそれよりも応援したいって思った。普段だったら相手を賞賛とか、受け入れるとかは難しい。
「次の試合まで休まなきゃ。なんで売店いるの。」
「あ、いや…迷って」
「…はい?」
「すみませんウチの子が!」
烏野の副主将くんって絶対面白い人だと思ったけどこんなに癖強いとは知らなかった。
「ごめんな。影山一人で行かせるんじゃなかった。」
「あ、澤村くん。お疲れ様です。」
「ありがとな。」
「試合凄かったよ。観ててめちゃくちゃ面白かった。次の試合の邪魔できないから私行くね。次も頑張って!」
「おう!ほんとにありがとな!」
今思ったけどこんなに広い会場で黒尾のこと探すの不可能に近いんじゃ…
「あ、A!さっき黒尾外出てったぞ」
「えっ、ありがとう!」
なんで澤村くんが黒尾のことを教えてくれたのは分からないけど、とりあえず外に出た。
外にも人が多い。どこにいるんだろう。
「あれ、何してるんですか」
「あ!いた!」
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作者名:なつなつき | 作成日時:2020年4月15日 0時