素直になりましょう【黒尾鉄朗】 (ページ3)

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教室のドアがノックされて、振り返ると面倒くさそうに立っている担任。時計を見たら下校時刻になっていた。

ちょっと待って、部活早く終わったのにいつもと変わらない時間になっちゃったじゃん。私らどんだけ話してたんだよ。19時半だから…え、3時間くらい

「なに、お前ら付き合ってんの？」

「一緒にいるだけで付き合ってるとかいうの中学生までだと思ってました」

「俺永遠の14歳だから。」

「松本伊代さんだって16って言ってんのに痛いですよ」

「Aは遠慮ってものを知らないよね。」

電気消して戸締りしとけーって、確認しなきゃいけないのあんたでしょうが。ほんとに最後の年この人で大丈夫かなあ。

「じゃ、帰るか」

「うん」

黒尾と2人で話すなんて春休みのときは想像もしてなかった。ましてやこんなに話が弾むことも。

「Aって電車？」

「うん。」

「ふーん」

なんで一緒に帰ってるんだろう。お互い彼氏彼女がいる訳ではないのに、謎の罪悪感が芽生えて居心地が悪い。

もし、誰かに見られたらなんて。

「ここ入れ」

「はい？」

「いいからこっちこい」

満員電車に乗ったら、引っ張られて壁際に入れてもらった。周りを黒尾が遮ってくれていることに気づいてまた心臓が騒ぎだす。

は？なんで騒ぐの。やめてよ。
まるで私がこいつのこと好きみたいじゃん。