ハグしてください〈ハイキュー短編集〉

宮侑 ページ17

「なんでや！？」


「ごめん｣


単身赴任やら出張やらが多くて


あまり家族と時間を過ごせないお父さんが


クリスマス一緒に過ごせることになった。


生まれて初めてお父さんがいるクリスマス。


お母さんと仕事終わりのお父さんと合流して


一緒にご飯食べに行くことになった。


イルミネーションも見れるから楽しみって思ったけど


「彼女と一緒におれんって嘘やろ…」


「でもお父さんがいるクリスマス初めてなの」


「まぁええわ」


喧嘩にはならなかったけど確実に空気は悪くなった


いつも部活が忙しい分、


クリスマスのことを考えてくれてることは知ってた。


でも…やっぱり初めてのクリスマスなんだ。


ごめん侑。


当日、浮かない顔をしている私に


お母さんは心配してくれた。


お父さん来てもっと心配かけちゃダメだよね。


侑のことは一旦忘れなきゃ。


「やぁ、2人とも久しぶりだね」


色んなところに行くから標準語のお父さん。


懐かしくて嬉しくてちょっと涙が出そうになった。


「お父さん！」


「お帰りなさい」


「お父さんからAにプレゼントがあるんだけど、最初の1つあげていいかな？」


「なに？」


「侑くん」


近くの柱から出てきたのは


「なんでいるん！？」


「クリスマスプレゼント」


「侑が！？」


「おん」


お父さんもお母さんもイタズラ成功した時の顔。


侑が私がいない時、電話で頼んだって。


「もうバカ！」


「家族水入らずの方がええかなとも思ったんやけどクリスマスやし彼女とおりたいやん。初めてなんはお父さんだけじゃなくて俺もなんやから。」


「私、贅沢すぎるやん…！」


「じゃあ、もっと贅沢しに行こうか」


お父さんがお母さんの腕をとって侑と私は手を繋いだ


ご飯を4人で食べて、イルミネーション。


侑がお父さんとお母さんと仲良くて、


私の事考えてくれたのも嬉しい。


「私すごい幸せものやん」


「なぁ、抱きしめてええか？」


「なんで？」


「幸せそうなAの顔見てたらしたくなった｣


「はい｣


腕を広げて、大きなからだを抱きしめた。


「じゃあ、帰るわ。家族水入らずで楽しんでな｣


「えっ、一人で帰るの？」


「こんな幸せそうな顔見れたし｣


「侑が来てくれたからもっと楽しかった。」


「帰りたくなくなるからもう言うなや」


優しいキスをされて、侑を見送った。


私の1番の贅沢は、


侑が彼氏なことだよ。

松川一静→←瀬見英太

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