ハグしてください〈ハイキュー短編集〉

日向翔陽 #2 ページ39

「月島くん！」


「ん」


「じゃあ頑張ろうね！」


誰にでもにこにこしてて、初対面でも仲良くなってて


月島は中学一緒だったらしいけど…


「Aちゃん他の男と仲良くするなーって思ってるべ？」


「スガさん！」


「Aちゃん人懐っこいよなー。この男所帯で既に癒しの存在なんてなかなかいない。」


小さな体に、沢山ボールを抱えて、


にこにこしながら走り回って。


「…可愛いっすよね」


「ほんと好きだなー。あの子が彼女ってまぁまぁ大変だよな。無自覚だし」


「そうなんすよね…あっ」


俺が見ている先で、たった今、大地さんが、


Aの頭を撫でた。


「あらら」


なんて言えばいいか分からない、気持ち。


すごく痛い。


「…翔陽？」


「なに」


帰り道。いつもなら色んなこと二人で話して、


沢山笑ってるのに、俺の機嫌が悪いから、


Aを困らせてる。


「私なんかしちゃったかな…？」


聞いた事ない声に振り返ったら、


大きな目に今にもこぼれそうなくらい水が張ってて


慌てて自転車を止めた。


「なんもされてない！っていうか俺がかっこ悪いから…」


正直に全部話した。


かっこわるくても。


「やきもち焼いてくれたの？」


「もう知らねー。」


「ごめん翔陽。」


楽しそうな声に、ますますふてくされた。


「機嫌直して？」


「Aからハグしてくれたら直す」


「…へっ」


真っ赤な顔と、困ったように泳ぐ目。


あーもう、全部可愛い。


「じ、じゃあ、行きます」


手広げて、って言われて広げたら


すぐ飛び込んできて暖かくなった。


「かっこ悪くてごめん」


「ううん。翔陽はいつもかっこいい。」


顔がみたい。


どんな顔してそう言ってるのか知りたい。


「A」


「なに？」


真っ赤な可愛い顔。


いつものにこにこじゃなくて、照れてる顔。


「好きだ」


「えっ、あっ、急だね、？」


「何か言いたくなった」


「私も、翔陽大好き」

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