お隣さん ページ2
あの事件から6年
12歳になった月守Aは下忍となり、事件以来親のいない子達がいた施設を出て、アパートに引っ越していた。
まだ揃えるものは多いが、一人暮らしにしては広いと改めて実感した。
「・・・こんな所に・・一人・・か・・・」
隣から扉の開閉の音が聞こえた。
彼が帰ってきたようだ。
Aは家を出て、買っておいたタオルを手にインターホンを押した。
家主は恐る恐る出てきて、こちらを見上げた。
「だ、誰だってば・・？」
「こんにちは、隣に越してきた月守Aです。お母さんかお父さん、いるかな？」
そう聞くと、横に首を振って、1人で住んでいると小さく言った。
ああ、もう、本当に・・
なんとも言えない感情で力の入りそうな手を堪えて、笑顔を作る。
「そっか、私も1人で住むの、よろしくね、お名前は？」
「え？」
俺の事を、知らないのか、と少し嬉しそうに、でも直ぐに暗い表情をした。
「う、うずまき・・ナルト・・」
「そう、ナルトくんね、よろしく」
なんで、という顔をするナルト
なぜこんな小さい子がこんな表情をしなきゃいけないのか
そんなことは分かりきっていても、心苦しいのは変わらない
「お、おれ・・」
「ナルトくん」
ナルトの目線に合わせ座り、震えて固く握る両手を優しくとる。
それは小さく子供の手
「ごめん、ナルトくん、君が化け物って言われているのは知ってる」
ビクリと震えて泣きそうだ
「ナルトくんはどう思う？」
「お、俺はっ！」
ああ、少し見張りの暗部が警戒態勢をとったな・・
「うん」
「化け物じゃない！」
目を合わせた彼は、強い目をしていた。
「うん、分かった」
「へ？」
「私はナルトくんを、ナルトをちゃんと見たい、ダメかな？」
「ダメじゃない！」
「良かった」
そう笑うとナルトは泣きながら首元にすがりついた。
「ナルト、よく頑張ったね」
「ゔん！おれ！がんばってるってば！化け物じゃない！」
「あなたはちゃんと強くなれる、きっと里を変えられる立派な忍びになれる。私は信じてる。」
だってこんなにも1人でずっと頑張ってるんだから
泣き疲れたナルトはクゥクゥと眠ってしまった
ベットに寝かせ、目元を拭いてやる
「ナルト、大丈夫、大丈夫だよ、貴方は強くなれる。信じてるよ。」
やっと始まる
この子を支える人生が
悲しみばかり生ませる里になんてならないように
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作者名：ココロ | 作成日時：2022年7月19日 9時
