麗しくて愛おしくて愉快な君と雪男たち

＊ ページ50

渡辺サイド


『……ごめん、ほんとにごめん。…昨日の記憶全くないの、』

相手は吉岡さんか……？

『…君にお迎えを頼んだことも忘れてたみたい、……ごめんね、わざわざ来てくれたのに。…うん、今メンバーの家にいる…今度埋め合わせするから、そんな怒んないでよ』

電話の相手が誰なのか無性に気になる。

『……うん、いいよ。…‥分かった。はいはい、じゃあ後で、』

そして、電話が切れた。

彼女が振り向く、ばっちり目が合った。

『…あれ、渡辺もいたんだ…』

渡「…おう、」

しょっぴー、って呼んでくれないんだ。

渡「…誰？電話の相手」

『…友達』

それ以上聞くな、というオーラを感じて、「友達って誰？」とは言えなかった。

『私昨日の記憶全くないんだけど、酔い潰れた私を渡辺達が連れて帰ってくれたってことでいい？』

渡「…まぁ、そんな感じ」

『…そっか。セーブして飲んでたつもりなんだけど……、迷惑かけちゃってごめんね。』


【迷惑】、その言葉に頭がカッと熱くなった。

ベランダの戸を閉めて、横を通り過ぎようとするAの腕を掴んで叫んだ。

渡「A！！」

『…な、なに？』

渡「…俺、ていうか俺たち全員、お前のこと迷惑だなんて思ったこと一度もねぇから！！…むしろ、迷惑かけてるのこっちだし、Aが居てくれてありがとうって思ってる！毎日感謝してる！！」

『き、急にどうしたの…？』

渡「急にじゃねぇし！ずっと思ってたことだから！Aが居るから、俺たちは此処で息ができてるわけ！！」

『………』

渡「……だから、……だから、……迷惑なんて2度と言うなよ………」

『………ありがとう…？』

眉を下げて苦笑するAを見て、俺の緊張がほぐれた気がした。

渡「…なんで疑問系…？笑」



そこへ。


深「ただいまー！朝ごはん買ってきたよー！あれ？なんでしょっぴー泣いてんの？」

『分かんない』

渡「泣いてねぇわ！つーかおせぇよふっか！俺腹減ったんだけど！」

深「Aもおはよう。二日酔いどう？」

『最悪』

深「朝マック食べる？」

『食べる』

渡「食べんのかよ」


思いがけず、聞いてしまったAの本音。

いつも平気な顔して、凛と立っているAの心にある氷の棘を、俺達が溶かしていかなきゃならない。

SnowMan全員で、必ずAの居場所を守る。

そう誓った朝だった。











ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。

続編に移行いたします。

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