【d!】魔法少女に親馬鹿にでもされたんか？？ (ページ11)

今日:6 hit、昨日:2 hit、合計:3,520 hit

非日常5 ページ11

『…はえ、生きてる…』

起き上がれば、私の落ちた地面はたしかにひび割れ、窪んでいるのに、私の身体には傷ひとつない。
あるとすれば、少し服によごれがついてしまぅたことくらいだ。
本当に魔法少女なのか、凄い。

「随分と大胆なご登場やな」

『…？』

「…あんた、奇抜な格好しとるな…」

『それは同感』

月とそっくりな色と輝きを持つ瞳が、私を捉えていた。
綺麗だとは思ったが、口調というか、こんな状況で驚くよりも煽りが先なところを見ると、この人が倒すべき相手なのだろう。
顔格好いいのに…タイプ…。

『いやあ本当にごめんなさい、こんなところに落ちるつもりじゃなくてですね』

「お前の落下地点とかどうでもええねん、どうせここで殺すんやからな」

『…やっぱり、悪者さんですかね？』

「はあ？お前、夜やからって寝惚けとるんちゃうやろな」

『仕事終わりだから眠いのは確かだね』

「社会人か、お前、自分から身元バレるようなこと言ってんの分かっとる？」

『っは、こ、巧妙な、気づかないうちに情報を喋らせるなんて…』

「お前アホなんか」

傷ついたので一発力任せに足蹴りしました。
流石魔法少女とでも言えばいいのだろうか。
自分でも理解できぬ速さと力で男性を蹴り、壁にめり込んでいる彼は砂埃に咽せてしまっている。

『初対面の相手に向かって、アホは酷いんじゃないですか？』

「っ、いっ、てぇ…敵同士なんやから、罵倒も煽りも最早挨拶みたいなもんやろ、何やねんお前、ケチ臭いババアかよ」

『ふんっ』

「げぇっ」

もう一発お腹に殴りを入れておいた。
少し黙っていてはくれないか、私はまだ若い部類に入る年齢で、そこそこ気前はいい方だ(鬱以外)。
後輩には毎回奢るし、帰りのタクシー代も出してあげている。
いつも律儀に返されてしまうけど。

『いいもん、私、貴方みたいな顔だけの人、嫌いだし、そう考えると、やっぱり私の周りの人っていい人ばっかなんだなぁ、あれ、もしかしてそれを分らせてくれる為にわざわざ憎まれ役を買って…？嘘、めっちゃ良い人じゃん！格好いい！よっ、男前！』

途中から確かに私今アホなこと言ってると自覚した。
だが言ってしまったが半分もう戻れないと思ったので取り敢えず褒めておいた。
私良い子、悪者にまで気を配って、うんうん。

「…惚れた」

『……は？』

「お、俺、シャオロンって言うねんけど、名前、連絡先教えてや！デートしよ、な？な？」

何言ってんだコイツ。