【d!】魔法少女に親馬鹿にでもされたんか？？ (ページ1)

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いつもの日常1 ページ1

「A」

『トントン、おはよお…』

「相変わらず眠そうやな、また夜更かししたんか？」

『いやあ、動画って見出すと止まんなくなっちゃうよね…ついつい、一回見たことあるやつも見返しちゃって…気付いたら日付超えてました』

「ほんまに…それだから昼にうたた寝してまうんやろ？課長に怒られるのもしゃあないわ」

一つため息をついて、上がってきたエレベーターに乗り込む。
同じマンションに住み、同じ会社に勤める同僚のトントン。
新入社員歓迎会で、偶々席が隣で意気投合して、偶々マンションが同じで偶々デスクが隣になった、何かと縁のある男である。

『寝ようと思ってベッドに入るじゃん？そんで、携帯でアラームかけようとして、でも何故か違うアプリに指がいっちゃって…』

「誘惑に負けるなあ」

『ちょっとだけって思ってもね、ほんと、つい、ね』

「ね、ちゃうわ」

伸びてきた手に、大人しく応じれば、はねていた後ろ髪を直してくれた。
ありがとう、と言えば、ん、と端的な返事が返ってきた。
いつも通り、トントンの車に乗り込み、会社まで向かう。

『どうにかならないのかなぁ、あ、あれつけようかな、時間設定して、強制的に見れなくするやつ！』

「どうせ、直ぐに解除するんやろ？」

『トントンが解除のパスワード設定してよ、そしたら私わかんないから、解除できない！これいい案じゃない？』

「絶対パスワード教えてって強請ってくるやろ」

『で、トントンが押しに負けて教えてしまう、と…現実は厳しいなぁ』

「Aが誘惑に負けなければいい話なんですけどねぇ」

発進した車の心地良い揺れと言ったら何の。
すぐに落ちてきた瞼に、トントンはけらけらと笑った。
一見堅物なのに、親しくなってみると案外幼気に笑うのだ。

「まあ、俺と同棲したら、そんなんで悩まなくて済むんやけどなあ、毎晩毎朝面倒見たるのに」

そして、友人にあれだけ未経験だのチェリーボーイだの揶揄われているくせに、妙に口説き文句が上手い。

『今んとこ、シェアハウスの予定はないので』

「ほんま釣れへんのな、今フリーやろ？」

『フリーでも何でも、好きな人以外と同じ屋根の下に二人きりなんて駄目に決まってるでしょ』

「俺紳士やで？」

『紳士がオオカミじゃないとは限らないから』

「ふはっ、その通り過ぎて何も言えませんわ」

否定してくれよ、君運転中だけど、一応今車内で二人きりなんだからな。