不幸体質少年の救済

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時が経ち、小学校高学年になった

学校では今も友達がおらず、遠巻きにヒソヒソとされているだけだが、虐めはなんだか減った気がする。

零君と景光君とは今もちゃんとメル友であり、たまにお話をする仲だ。マックの新作が出たから食べよう！と誘ってくれたり、大会でまた2位をとったのを何故か知っていてお祝いしよう！って連れ出してくれたり、それはもう構ってくれる。

出かける度にひったくりに横切られ、居眠り運転に突っ込まれる僕の不幸体質は健在だけど、2人は嫌がる素振りをせず一緒にいてくれた

なんなら目が離せない…！って日に日に過保護になってる気がする
慣れてるから大丈夫ですよ？と伝えても、2人して首を振り、心配だから守らせて？と優しく説得されたのは記憶に新しい


そんな2人も今年から警察学校に入学した

規則が厳しく中々携帯も使えないし外出もできないらしい。…少し、寂しいな

仕方のない事だし、2人の夢は全力で応援したい

だから笑って送り出せば両脇からガバッと抱きしめられた
突然の事に驚いたけど、ギュウッと力を入れられてなんだか嬉しくなり抱き締め返す

「電話そんなに出来ないけど、時間作って必ずするから！」

「次会う時はもっと頼もしくなってるから楽しみにしてくれな」

と約束してくれた、頻度は減るだろうけど次があるなら寂しくない

こうして、零君と景光君と長いお別れをしたのだった



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出かける機会が減り、体術の習い事以外暇になってしまった僕は、最近パルクールにハマっている

普段使わない筋肉を使い、鍛えてる僕でもしょっちゅう筋肉痛になるので新鮮な気持ちになる



建物から建物へ移動する時の浮遊感や、壁を登りきった時の達成感がとても気持ち良い

昼間は母が心配したり人の目が気になるので、夜コッソリと家を出て徘徊している。本当はダメなんだけどね、ハマっちゃったから我慢できない。

それに加え、母は近頃仕事が忙しそうで、夜も家を空ける事が多くなった

なのでバレてはいない…と思うけど、母は無駄に勘が鋭い。この前なんか、朝に「あんまり無茶しちゃダメよ？ま！若いからほどほどに！」と何の脈絡もなく伝えられてヒヤッとした

…ﾊﾞﾚﾃﾅｲﾊｽﾞﾅﾝﾀﾞｹﾄﾞﾅｰ?


そんなこんなで、今日もウキウキと家を出る。不良息子でごめん！でもやめられない！


何処に行こうか、この前は住宅街だったな

未知の風景、街並みを探検するのもパルクールの醍醐味だ

僕は心を踊らせてコンクリートを踏みしめた

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