episode XXXVI ページ38
流血表現有
.
あぁ、完璧だ。
僕は完璧。ちゃんと人間を演じられてる。
ちゃんと出来てる。
みんなと同じ。同じ人間。
カツカツと足音を鳴らしながら廊下を歩く。
もっと、もっと人間にならなくちゃ。
もう二度と戻らない。
戻っちゃダメだ。
僕の、ぼくの人生が奪われる。
だから完璧にならないと。
ふと背後で小さな声が聞こえた。
「なぁ、最近アイツ怖くね？」
「分かる、なんか前の感じとは違うよな。」
「ウザイ。人間味がないよな。」
「ほんとにな。ちょっと顔がいいだけで偉そうに。」
なに…？まさか僕のこと？
僕が腹立つ、ってこと？なんで？
その瞬間、背後に強い気配を感じた。
これは、殺気…
後ろを振り返ろうとするも間に合わない。
なにか、抉られるような感覚。
『え…』
「はは、アイツやるじゃん。」
「アイツなんの獣人だっけ？」
「豹だってよ。あーいい気味。」
「見ろよあの背中。血塗れで美しさなんて欠片もねぇよな。」
「うわ、痛そー」
「思ってねぇだろ」
「あはは、バレた？」
なに、何が起きた？
後ろを見れば獣人であろうサバナクロー寮生がいた。
「はっ、痛てぇか？いつも偉そうにしてる罰だよ。」
意味が分からない。何故僕が？
此奴らに僕が何をした？
「痛てぇよなぁ！俺は豹だからなぁ！」
痛い？痛いわけが無いだろう。
感覚も何も無いのに。
自分の顔から表情が抜け落ちるのが分かった。
「は、彼奴全く痛そうじゃねぇじゃん…」
「おい、お前顔やれ！顔潰せ！」
野次馬が煩い。
「てめぇのその綺麗な顔、潰してやるよ…っ！」
『さい、煩いなぁ！！』
『
刹那、周辺にいた全ての人間の体が崩れ、切り裂かれた鏡の破片のようなものが辺りに散らばる。
炎魔法を使いその破片を燃やし、各ひとつ残った欠片を風魔法で集めた。
あぁ、腹が立つ。
硝子の欠片を握り締める。
ぷつ、と肌が切れ血が流れ出た。
『あはっ、清々しい程何も感じないじゃん。」
じゅわっと音を立て、流れ出た血も傷も何もかもが跡形もなく消えた。
カツン、カツン、カツン…
静寂に包まれた廊下に悠々とした足音が響いていた。
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夜雨 - 三ページですよ (2020年8月18日 9時) (
レス) id: a3c70cbb44 (このIDを非表示/違反報告)
七瀬(プロフ) - 夜雨さん» 報告ありがとうございます！すみません、どこのページでしょうか…？ (2020年8月17日 21時) (レス) id: 526cecfd7a (このIDを非表示/違反報告)
夜雨 - 寮服が両服になっています。 (2020年8月17日 21時) (レス) id: a3c70cbb44 (このIDを非表示/違反報告)
美咲(プロフ) - オバブロかな？姿から「なーんてね」「ふふっ」ってぎこちなく笑って言ってるのが想像できた…。鳥肌ァ。自分の為なのに他の人の為になってるパターンあるの最高。誰かに優しく抱きしめられたい感じ？孤独から解放、理解されたい、もどかしい…先が楽しみ…(文字数許さn (2020年8月11日 21時) (レス) id: f6fdf86c66 (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - 主人公君の設定が滅茶苦茶刺さります……更新楽しみにしてます！ (2020年7月26日 1時) (レス) id: 0d837f5408 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：椎名 | 作成日時：2020年2月11日 22時
