気づいたら囲まれてた。 (ページ23)

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誘拐ハンター 2 ページ23

ヴィ「アンタとは前々から話してみたいと思ってたのよ。色んな奴らが噂してるからね」

「…俺有名人すか」

ヴィ「オクタヴィネルの取り立て屋としても、生徒としても有名よ。」

「…はぁ」

え、俺なんかしたっけ？
成績が優秀な訳でもない。飛行術が上手いわけでもない。容姿端麗でもない…。
…あ、身長？…先輩らの方が上だ。食事量？ジェイド先輩のが上。うーーん…。

ヴィ「問題児(トラブルメーカー)として」

「すっごい不名誉」

ヴィ「アンタ、顔は悪くないのよね。」

「突然褒めますやん…対価になんか欲しいんですか」

ヴィ「いらないって言いたいけど…そうね。あんたモデルの手伝いしてくれない？」

「ﾋｪｯ」

ヴィ「臨時収入よ、喜びなさい」

え、俺より絶対に合う人いる。俺の顔面偏差値は多分誰にも勝てない。
ここにいる人本当に顔面偏差値高いんだって。皆芸能界でやってけるもん絶対。

ヴィ「ほんとは他の人がやる予定だったんだけど、急に来れなくなったらしいの。」

「ご都合主義ってほんと素敵」

ル「どういう意味かな？ムシュー・無気力」

「どっから湧いた」

ル「おや、すまない。気になってしまってね」

ヴィ「話を腰を折らないで。…それで、今度の撮影は"黒"がテーマなのよ。衣装も黒を際立たせるものよ。」

「え、あ、はい」

有無を言わさず始まったシェーンハイト先輩の撮影講座。香水の撮影らしいよ。
なんか、シェーンハイト先輩の匂いは甘くも刺激的な匂いらしくて、相手(というか今回俺がやらされる方)の匂いは爽やかで落ち着く匂いらしい。
…絶対に人選ミスだと思うの俺だけ？

ヴィ「で、アタシがアンタを選んだのには理由があるのよ。」

「…はい」

ヴィ「この学校、爽やかな奴居ないのよね。胡散臭い奴とか、気分屋とかそういうのならいっぱいいるけどね…」

何処か遠い目をしたシェーンハイト先輩が笑う。
…いや、あれは苦笑か？失笑？うーん、どっちにせよ誘う相手に困ってたのには間違いなさそう。

ヴィ「で、アンタを選んだのよ。」

「…なるほど、消去法」

ヴィ「言い方は悪いけどそうなるわね。素材は悪くないから磨けばいいのよ、アタシが。」

「え、いや、あの…」

ヴィ「大丈夫よ、酷い事はしないわ。」

にっこりと笑ったシェーンハイト先輩がめちゃくちゃ怖いと思うのは絶対に俺だけじゃない。