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私と貴方としゃぼん玉<shk> ページ11

とある日の、夜。

月が淡く光り、星が今にも降って来そうな日だったっけ。

何があったかはもうあんまり覚えて無いけど、とにかく最悪な事があった日の帰り道だった。

その帰り道の公園で、私は彼に出会った。



彼との出会いは、突然の事だった。

そう、本当に突然、何かが私の目の前で弾けたのだ。

「な…に…」

辺りを見渡すと、ブランコの上に一人の男性がいた。私はその男性と、

目が、合った。


「こんばんは」

「えっ…こ、こんばんは…?」


それだけ。
でも、

彼は何故か、私の事を何でもお見通し、みたいに話しかけてきた。

「お前、何かあったんじゃねえの?」

いきなり自分の心の内を言い当てられてどきりとした。
何で、分かったんだろう。

「何で分かったか、だろ?お前の目を見りゃ分かる。」

そう言って、彼は何かを吹いた。


それは、しゃぼん玉だった。
月と星の光に照らされ、きらきらと光っている。

私の前でパッと弾け、粒子が空に舞った。

「お前は今にも消えそうだ。しゃぼん玉のようにな。

 だから何でも話してみろよ。悪い事は溜め込むと良くないぞ?」

…なんだか、彼には何でも話せる気がした。
彼と会うのはこれが初めての筈なのに。

でも。
いきなり自分の心の内を話して、嫌な気分にならないだろうか。迷惑にならないだろうか。

「迷惑になんかならねえよ。ほら、隣来な。」

隣のブランコに座り、口を開いた。




彼は一生懸命、私の話を聞いてくれた。
途中で泣いちゃったりもしたけど、彼は優しく私の頭を撫でてくれた。




「ありがとう、話してくれて。」

「…こちらこそ、ありがとう。気持ちが楽になった。」

「それはよかった。」

そう言って彼はにこりと笑った。

深夜の空に舞ったしゃぼん玉が、私たちの目の前で弾けた。

私と貴方と海の香り<kr>→←*



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ながいぱん - つきりとさん» コメントありがとうございます。つきりとさんのコメントにはいつも元気づけられていました!こちらの方こそ感謝したいです。「最高」という言葉、とても嬉しいです。これからもどうかよろしくお願いします。 (2021年11月14日 14時) (レス) id: 8f2a60deb6 (このIDを非表示/違反報告)
つきりと - 完結おめでとうございます!!どのお話も最高でした…!新作も見に行きますね!お疲れ様でした! (2021年11月14日 14時) (レス) @page46 id: 56bbbbea71 (このIDを非表示/違反報告)
ながいぱん - 黒川さん» コメントありがとうございます。完結まで着いてきてくださりこちらの方こそ感謝したいです。この小説の事をこんなにも真剣に見て頂いている事に感動しました。これからもどうかよろしくお願いします。 (2021年11月13日 11時) (レス) id: 8f2a60deb6 (このIDを非表示/違反報告)
黒川 - →作品に出合えることを待っています。拙い文章&長文の感想失礼しました。(感想に衍字、誤字があったらすいません。)改めて完結おめでとうございました。青春をありがとう (2021年11月13日 10時) (レス) id: c7eb02b133 (このIDを非表示/違反報告)
黒川 - →見出しの文のように甘酸っぱい恋愛ものからほろ苦い恋愛もの。恋愛という一つのジャンルで一つ一つの作品の内容が被らずこんなに輝いている小説に初めて出会いました。読んでいるとき毎回過ぎ去った青春、恋をを生身で体験しているようでした。何時またか貴方様の→ (2021年11月13日 10時) (レス) id: c7eb02b133 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ながいぱん | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Nagai-pan3/  
作成日時:2021年10月2日 20時

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