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私と貴方と朝のバス停<br> ページ2

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六時半ぴったりに目を覚まし、七時までに朝ごはんを食べ終え、七時半までには全ての準備を終わらせて家を出る。

今まで時間ギリギリに起き、毎日バスに乗り遅れそうになっていた私がこんなにも健康的な生活をするようになったのは今年の春から。

理由は、私に好きな人ができたから。


「行ってきます」


いつものようにに七時半に家を出て、バス停まで早足で歩く。

ああ、いた。

赤みを帯びたふわふわの茶色の髪に、深海の様な青い目。
彼はいつも、この朝の香りがするバス停で小説(たぶん)を読んでいる。

名前すら知らない彼との出会いは今年の春。
私はその日、急遽入った委員会活動でいつもより早く家を出ていた。

眠たい目を擦りながらバス停に向かうと、

彼がいたのだ。

春の暖かい風が、私の頬を撫でる。
私は彼に一目惚れをした。

彼が読んでいる本の中身は分からない。表紙にはカバーがしてあるし、本に書かれた文字は細かくてよく分からなかった。
それでも、本が苦手な方な私でもその本を「面白そうだな」と感じてしまうのは、きっと彼が読んでいるからだろう。

あっという間に時間は過ぎるものだ。
彼はベンチから立ち、プシューと鳴る午前七時四十五分発のバスの中に入って行った。

なんとなく、ベンチに座ろうと腰を下ろすと隣に、何かが置いてあることに気づいた。

それは、一冊の本だった。
しかも、彼が読んでいた、あの本。


「忘れて…いった…?」


本をそっと持ち上げる。と、同時に何かがはらりと地面に落ちた。
私は、それを排水溝に落ちてしまわないうちに拾い上げた。

小さな、紙切れ。


「何か、書いてある…」


<貴方の、名前は?>


「…私の名前は、A。」

「ねえ、貴方の名前は?」


朝のバス停。

早朝の秋の冷たい風が、わたしの頬を撫でていった。

でも、それは今の私にとっては、春のような暖かい風だった。


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私と貴方と桜吹雪<sm>→←私と貴方とスポーツドリンク<kn>



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ながいぱん - つきりとさん» コメントありがとうございます。つきりとさんのコメントにはいつも元気づけられていました!こちらの方こそ感謝したいです。「最高」という言葉、とても嬉しいです。これからもどうかよろしくお願いします。 (2021年11月14日 14時) (レス) id: 8f2a60deb6 (このIDを非表示/違反報告)
つきりと - 完結おめでとうございます!!どのお話も最高でした…!新作も見に行きますね!お疲れ様でした! (2021年11月14日 14時) (レス) @page46 id: 56bbbbea71 (このIDを非表示/違反報告)
ながいぱん - 黒川さん» コメントありがとうございます。完結まで着いてきてくださりこちらの方こそ感謝したいです。この小説の事をこんなにも真剣に見て頂いている事に感動しました。これからもどうかよろしくお願いします。 (2021年11月13日 11時) (レス) id: 8f2a60deb6 (このIDを非表示/違反報告)
黒川 - →作品に出合えることを待っています。拙い文章&長文の感想失礼しました。(感想に衍字、誤字があったらすいません。)改めて完結おめでとうございました。青春をありがとう (2021年11月13日 10時) (レス) id: c7eb02b133 (このIDを非表示/違反報告)
黒川 - →見出しの文のように甘酸っぱい恋愛ものからほろ苦い恋愛もの。恋愛という一つのジャンルで一つ一つの作品の内容が被らずこんなに輝いている小説に初めて出会いました。読んでいるとき毎回過ぎ去った青春、恋をを生身で体験しているようでした。何時またか貴方様の→ (2021年11月13日 10時) (レス) id: c7eb02b133 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ながいぱん | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Nagai-pan3/  
作成日時:2021年10月2日 20時

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