悪女に花束を。

制裁 ページ47

──どうしてこうなったんでしょう





しのぶは今日も始まる「制裁」に唇を噛み耐えた





あの日を境に

陰口・悪口という言葉の暴力に殴る・蹴るなどの暴行が加わった





暴行してくるのが隠や一般隊士だけというのが唯一の救いだが、いくら柱といえど力もなく上背もない自分では、数人がかりで押さえつけられては抵抗も出来ない





日に日に増える傷と蓄積されていく疲労


信頼できる仲間からの罵詈雑言に容赦ない暴力





何より心を抉るのは柱の皆が、見て見ぬふりをしていることだった



地面に転がされ、汚水をかけられ、肌を晒され辱しめられていても誰も助けようとはしてくれない


むしろ、わざわざ視界に入る位置に移動して腕を組み冷めた表情でじっと見つめているのだ



痛い、とても痛い



苦しい、助けてと叫んでも返ってくる言葉はいつも決まって





「Aのほうがもっと痛く、苦しかった」





と、いうものだった





「私だって心が痛い、私だって心が苦しい」





涙ながらにそう叫べば、制裁はさらに酷くなった





どうして？


なんで、こんなことになったの？？





Aに謝りたい、前のように笑い合いたい


その願いとは裏腹に口を衝いて出た言葉は全てAの存在とそれまでの努力を否定するものだった





違う、違う！私はこんなことを言いたいんじゃない！！





頭と心の中では『止めろ』という声が響くのに、開いた口は止まることを知らず

私は絶望の表情を浮かべるAを嘲笑っていた

そして、お館様の名を語り任務を押し付けた身に覚えのない罪で私の周りには誰もいなくなった

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