俺にも季節が訪れた。 (ページ9)

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第9話　君の隣は居づらいページ9

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放課後になり、

彼と街に行く時間が来た。

龍「まだ寒いね」

雄「そうかな？」

龍「そうだよ、ほら」

冷たい手で、

彼は、俺の手を握ってきた。

手を握られ慣れてないからか、

少し驚いた。

雄「冷たいね」

龍「那須くん、何で温かいのっ？」

雄「暑がりだからかな」

龍「俺も暑がりなんだけどな」

冷たい手が離れていく。

彼は何なんだろう。

普通には出来そうにないことを、

さりげなくしてくる。

雄「今日はどこに行くの？」

龍「ん～…、決めてない」

雄「………君は、計画的に動こうという気はな」

龍「いーじゃん、いーじゃん」

雄「………」

龍「考えずに動かない方が、

良いこといっぱいあるよっ」

最初から最後まで、

俺は計画的に動きたい。

だけど、

そんな笑顔を向けられたら、

たしかに……

と感じてしまう自分がいる。

雄「待って、待って」

龍「ん？」

雄「こんなキラキラした場所、俺には無理。」

龍「大丈夫だよっ」

雄「ただでさえ、」

周りから目立たないように生きてきた俺と、

周りから目立つために生まれてきた君、

そんな俺らが隣に居るのが、

みんな不思議で仕方ないのは分かる。

俺だって、思ってる。

雄「君の隣は居づらい…。」

龍「……ぇ」

雄「ごめん、帰ります。」

こんな息が詰まりそうな感覚、

小中学校以来だ。

あの時に出会っていたら、

こんな事、

言わなかったし、

思わなかった。

龍「ぇ、…那須くんっ」

雄「満員電車だけでも疲れるのに…、
今日は、いつもの倍疲れてる気がする。」

早足で駅に向かい、

まだ空いていた電車に乗り、

家まで早足で帰った。

こういう時、

一人暮らしは一番助かる。

雄「…はぁ、疲れた…」

制服の上を脱ぎ、

ワイシャツのままベッドに寝ころがる。

何でこんなに疲れないといけないの？

そういえば、

置いて来たけど、大丈夫かな。

まぁ、俺と遊べなかったら、

他のチャラい友達と遊んでるか。

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