現実逃避 【衛藤昂輝】 ページ2
全く、困った彼女だ。
俺の為に旅行を密かにリョウと計画していたらしいA。
そういう所も愛らしくて好きだ。
だが、深夜に家を出ようとしたのは驚いたな。
俺が居なかったらどうするつもりだったんだ……?
少しお仕置き…とも思ったがこれからの旅行のことを考えるとそんなこと全て気にならなくなる。
久しぶりの、二人きりでの旅行だ。
日帰りでもいいが、せっかくなら宿泊がいいな。
ゆっくり出来るし、心も体も休める。
「ほら、行かないのか?」
Aの力が緩んだすきにとじ掛けていたドアを無理矢理開ける。
ドアノブをしっかり掴んでいたのかAはそのまま引っ張られるように外へ出てきた。
『ひ、いや…っ』
「……嫌?あぁ、やっぱり深夜に行くのは嫌だよな。今日はこのままAの家に泊まろうと思っていたんだ」
朝になったら、二人で行こう。
時間はあるんだ。急ぐ必要なんてないだろ?
「ふふ、どうした?そんなに青ざめて……まさか俺の事を心配してくれてるのか…?」
可愛い、あぁ可愛い。
俺の仕事のことまで心配してくれるなんて……優しいな、お前は…
目の前の体をぎゅっと抱き締めて、そう伝えるとAの体が強ばるのを感じた。
いつまで経っても、慣れないんだな。俺に抱きしめられるのは……
「大丈夫、Aの為に休みをもらってくる」
ぽんぽん、と可愛い頭を撫でてあげればふっと体の力だ抜けた。
‘逃げようとしていた’?
まさか、彼女に限ってそんな事はある訳が無い。
俺も彼女も愛し合っている。相思相愛。両想いだ。
逃げるなんて、そんな考えになるわけがないだろう。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
現実逃避型ヤンデレコウくん。
相手の行動を全ていい方に考えちゃうから話通じない。
基本、束縛は激しくないから異性と交流しても何も言ってこないし勝手に男とふたりっきりで出かけても「妬いて欲しいのか…?可愛いな」としか思われない。
別れよう、となっても「まさか、ファンの事を気にしているのか?」ってなるし
無視をしても「無口なお前も可愛いな…俺と話すと照れるからそうしてるんだな?可愛い」ってなる。
まだ、マシ。
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作者名:ななせ | 作成日時:2019年2月26日 7時