【募集企画小説】ヨコハマのイレギュラー達【文スト】 (ページ23)

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或る爆弾其ノ参ページ23

敦も目が覚め､皆で探偵社に戻ろうとした時

「私、少し私用があるので此処で失礼します」

珞が口を開く。

「私用？そんな事は聞いていないが」

「まァいいじゃないか国木田。でも､余り出歩きするんじゃないよ。…怪我をしてくれりァ妾は嬉しいけどねェ」

国木田をまた宥め与謝野が言う。その言葉にその場にいた数名は顔を引き攣らせる。

「はは､精々怪我しないように気をつけますよ」

顔を引き攣らせたまま答える。そして一人別の道を歩き始めた

__

所変わり､とある墓地。ある墓石の前に一人の男がいた

ｶﾁｬ

そんな金属音が男の耳に届く。振り向くと一人の女がいた。

女の正体は珞。そして金属音は___拳銃。

そう珞は男に拳銃を向けているのだ。

「激務で忙しい特務課のエージェントがこんなところで何してるんですか？__“安吾”さん」

「それは此方の科白です。一度も此処に訪れなかった貴方が何の用です？」

安吾と呼ばれた男は目を細め答える。

「別に貴方には関係ないでしょう？」

拳銃を仕舞いながら答える珞。

暫くの沈黙。

「…分かりました。僕は用が済んだのでこれで失礼します」

珞の横を通り過ぎる。

「あぁそうだ」

珞が口を開く。安吾が振り向く。

「これから､このヨコハマで大変な事が起きます。特務課も忙しくなるでしょうし…また連続徹夜の覚悟をした方がいいんじゃないですか？」

「……そうですか。ご忠告感謝します」

そう言い､安吾はその場から立ち去っていく。

一方､一人残った珞は墓石に近寄りしゃがみこむ。
そこには《S.ODA》と書かれている。

「来るのが遅くなりすみません。…本当は来るのを少し迷ったんですけど､どうしても近況を報告したくて」

そう言いながらポピーとハハコグサの花を置いていく。

「今日､とても面白い子に会いまして……その子異能者だったんですよ。虎に変身する能力で…少し貴方に似てるかもしれないですね」

少し笑みを浮かべる珞。

「太宰さんがその子を探偵社に入れようって言い出して…わかってましたけどあの人のあぁゆう所､未だにちょっと慣れないんですよねぇ。あ、太宰さんは相変わらず元気ですよ？自. 殺も相変わらずですけど…あの頃よりだいぶ変わりました。あなたの言う善い人に成れますよ。だから…………安心して下さい」

俯く珞。それと同時に掌に痛みが走る。どうやら握り過ぎて血が出ていたようだ」

「あ～あ､手当しなきゃ……じゃそろそろ帰りますね？……“織田作さん”」