【文スト】白雪姫と七人の愛（参）

#84 ページ7

太宰side

敦くんは、ほんと真っ直ぐだよね。
私なんかとは違って"生きる理由"を探してる。

ほとんどの人がそうだと思うんだ。

"死ぬのが怖いから生きてみる"



マフィアで生き残るコツは命を惜しまないこと。
死ぬことを怖がってる人は大抵真っ先に死んでいった。

もっとも、私は幹部まで勤めていたくらいだから
死ぬことなんてこれっぽっちも怖くない。

なのに、何故か生きてるんだ。
不思議しかないよ、
死のうと思っても何故か助けられてしまう。

どういうことか分かるかい？

"生きる"ということが誰にとっても大本命。
世間で固定概念になっちゃってるのね。

生きたい人も死にたい人も
どっちだって意志なんだから尊重してあげればいいのに。

結局、どちらにせよ理由なんかないんだよ。
生きる理由も、死ぬ理由も。

...ただ、それが運命(さだめ)なだけでね。






太｢だからこそ、理由が欲しい。
サダメだなんて形のないもので
終わらせたくないから。

わからないものをわからないままにしたくはないから｣





Aちゃんは黙って聞いていた。




太｢Aちゃんは分かってるもんね。
死んだあと、人はどうなるかってこと
...何も変わらないんでしょ？｣

『姿形が消えて、体温はなくて
触れたり触れられたりはできない。
その時点で死んだ人は人間じゃない』


君はそう考えるんだね。
ここと向こうは全くの別物。
だから、死ぬのが怖い？


『太宰さん、私...
向き合ってみます』




両親に繋ぐ。




これがAちゃんの選んだ第一歩だった。

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