130.私のような者 ページ30
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「どこから聞いていたのかは知らないが、君も気分を悪くしただろう」
チクリ。
胸に突き刺さるような言葉。
「…そんなことないわ。
今は少し混乱してるけど…」
リーマスは私の眼を全く見ない。
どこか白々しさを含んだ声で、またチクリと胸が痛む。
「いいや、私のような者が君の夫だなんて、さぞかし不名誉だろう」
あまりにもひどい決めつけだ。
「そんなことない！」と咄嗟に発するが、それがどれほどの意味を持つのだろうか。
リーマスは、いいや、と首を横に振る。
まるで何かを諦めたような、そんな。
「私…、謝らないといけないことがあるわ」
「…いいや、そんなものは何もない」
有無を言わさない圧を含んだ声。
向けられる拒絶のような声に、推し黙る。
そんなことを言わないで。
やはり私があなたを傷つけたから？
…言いたいことは止めどなく溢れてくる。
しかし、それは言葉にならなかった。
言う資格がないような気がした。
ぐっと言葉を飲み込むと、胸が少し苦しくなった。
「君は、何も間違っていない」
リーマスは、口元だけに微笑を浮かべた。
"すべてが正しい"そう言いたげに。
何が。といいたくなった。
何が正しいのだろうか。
私は間違いだらけであるのに、あなたがそう扱ったのに。
「ねぇ、リーマス、」
「相応の者がいる。
シリウス達に教えて貰えばいい」
どうして。
「……」
「シリウス、あの話はまた今度に……、いいや、君の一存で良い。進めてくれ」
「……いや、」
「シリウス」
その声は、反論を決して許さぬ声だった。
「進めておくれ」
彼…リーマスは、そう言った。
「それじゃあ」
リーマスは玄関へと歩を進める。
コツリ、と固い音が私達の間に響いた。
「リーマス！」
咄嗟に出たのは、彼の名だった。
止まって、ねぇ、話をしましょう。
お願いだから、あなたが相応しくないなんて、あなた自身が言わないで。
言いたいことは山ほどあるのに。
それらは言葉になる前に、泡のように消えゆく。
「……行かないで、」
情けない声。
リーマスの広い背中に、柔らかく当たり、落ちる。
「お願い……」
頬を何かが伝う。
鋭利な刃物に突き刺されたような、胸の痛み。
話し合いたかった。
その資格さえ、私にはないのか。
「……リア」
コツリ、とまた足音が響き、止まる。
リーマスは1度だけ、振り向く。
彼は、ただ、私の名を口にした。
そして、微笑む。
私の眼を見て。
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もちお(プロフ) - 寝る前や空いた時間に少しずつ読みました！この作品がとても大好きです、更新楽しみにお待ちしてます！！！ (4月29日 16時) (
レス) @page32 id: 3dbffe5af8 (このIDを非表示/違反報告)
ことり。 - 引き込まれてどんどん読み進めてしまいました！更新楽しみにしています！ (4月4日 22時) (レス) id: 0c2f06c45e (このIDを非表示/違反報告)
ihok(プロフ) - ななさん» 更新が滞ってるのにも関わらず、温かいコメントありがとうございます^ ^ 少しずつ時間を見つけて更新していこうかと思います！これからもよろしくお願いいたします。 (9月8日 10時) (レス) id: 7fd5b0eefb (このIDを非表示/違反報告)
なな - 久しぶりに読み返しました、また号泣してしまいました（т-т）無理せず更新されることを願ってます。 (8月27日 1時) (レス) @page28 id: aed3455a0e (このIDを非表示/違反報告)
ihok(プロフ) - イジーさん» ありがとうございます！お話更新したので是非^ ^ (2023年3月29日 22時) (レス) @page26 id: 7fd5b0eefb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ihok | 作者ホームページ：http://mobile.twitter.com/ihok__
作成日時：2021年9月7日 23時
